地層名 九頭竜火山列 くずりゅうかざんれつ
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代表地点 -
形成時期 鮮新世~更新世中期(約310万~72万年前)
概要    岐阜・石川県境にある白山(標高2,702m)を中心とする両白山地北部に分布する火山群のうち、鮮新世~更新世前期に形成された火山群で、北西から南東に向かって大日山火山、取立山(とりたてやま)火山、赤兎山(あかうさぎやま)火山、経ヶ岳(きょうがたけ)・法恩寺山(ほうおんじさん)火山、銚子ヶ峰火山願教寺山(がんきょうじやま)・三ノ峰火山大日ヶ岳火山烏帽子・鷲ヶ岳火山の8つの火山体が並ぶ。これらのうち前四者は石川県・福井県地域に分布し、後四者が岐阜県地域に分布する。全体に安山岩質の溶岩層が卓越していることを特徴としている。これに対してほぼ同じ地域において更新世中期以降に形成された火山群は白山火山列といい、南北方向に並ぶ。
文献
  • 棚瀬充史・及川輝樹・二ノ宮 淳・林 信太郎・梅田浩司(2007)K-Ar年代測定に基づく両白山地の鮮新-更新世火山活動の時空分布.火山,52,39-61.
  • 写真 九頭竜火山列(橙色)と白山火山列(赤色)の火山体分布図
    (山崎1988による)
    写真 準備中
    願教寺山・三ノ峰火山
    両白山地北部の県境尾根に沿って、北から、三ノ峰(標高2128m)、銚子ヶ峰(標高1810m)、願教寺山(標高1691m)、薙刀山(なぎなたやま)(標高1647m)、野伏ヶ岳(のぶせがたけ)(標高1674m)、杉山(標高1181m)と続く山稜に分布する火山である。全体にかなり浸食され、とりわけ願教寺山北西斜面や野伏ヶ岳東方斜面などで大規模な崩壊地形がみられ、火山地形はほとんど残されていない。火山体の復元体積は約20km³と推定されている。大きく願教寺山以南地域と三ノ峰周辺地域で火山岩類の構成が異なる。前者では8枚、後者では3枚の安山岩質溶岩層にそれぞれ分けられている。
    大日ヶ岳火山
    長良川の最上流部域にあって、大日ヶ岳(標高1709m)を中心に南北約8km、東西約10kmに広がる火山体であり、復元総体積は約16km³とされている。おもに比較的小規模な安山岩質の溶岩層からなることを特徴としている。山頂部付近の2ヶ所に火口跡と推定されている凹地があり、すべてそれらから噴出したと考えられている。火砕流堆積物や火山角礫岩などの火砕岩は少ない。九頭竜火山列の火山体の中では比較的若い時期に活動した火山である。
    烏帽子・鷲ヶ岳火山
    郡上市と高山市の境界にまたがり、南北約33km、東西約18kmの広範囲に広がる火山体であり、復元総体積は約66km³とされている。その中央部に南北に流れる一色川により大きく烏帽子岳(標高1625m)と鷲ヶ岳(標高1671m)の山体に分けられており、多くの谷により開析されているため、火山地形はほとんど残されていない。九頭竜火山列における他の火山が溶岩層を主体とする成層火山を形成しているのに対して、火砕流や岩屑なだれによる堆積物をともなう点がやや異なる。大規模な山体崩壊堆積物と水底堆積物を境に古期火山と新期火山に分けられており、前者はおもに山体の西部から北部にかけて分布し、阿多岐層を覆い、角閃石斑晶に富む安山岩質溶岩と同質の火砕流堆積物などからなる。後者はおもに山体の南部から東部にかけて分布し、前者に比べて角閃石斑晶の少ない安山岩類からなり、複数枚の溶岩層やblock and ash flow堆積物などで構成され、それらを覆う土石流堆積物などが山麓部に分布する。
    白山火山列
    岐阜・石川県境にある白山(標高2702m)を中心とする両白山地北部に分布する火山群のうち、更新世中期以降に形成された火山群で、北から南へ向かって戸室火山・白山火山・両白丸山火山・毘沙門岳火山という4つの火山体があり、これらのうち戸室火山を除いて岐阜県地域に分布する。なお、鮮新世~更新世前期に形成され火山群を九頭竜火山列といい、それは北西~南東方向に並ぶ。
    銚子ヶ峰火山
    両白山地北部の県境にある三ノ峰(標高2128m)の南方約3kmにある銚子ヶ峰(標高1810m)を中心に溶岩ドームのような地形をもつ火山体をなす。願教寺山(がんきょうじやま)・三ノ峰火山の上に載るように分布する体積約1.7km³の小規模な火山で、角閃石、輝石を含む安山岩質の溶岩からなる。
    地質年代