能郷白山花崗閃緑岩
岐阜・福井県境の能郷白山(標高1617m)を中心に、根尾谷断層系の温見(ぬくみ)断層により北西~南東方向に4kmほどの左横ずれ変位を受けているが、東西約5km×南北約7kmにわたり岩株状に露出している岩体である。おもに中粒の斑状花崗閃緑岩からなり、大きな斜長石が斑状に含まれる。当初、この岩体は新第三紀の西谷流紋岩相当層に不整合に覆われる白亜紀後期の深成岩体とされていたが、苗木花崗岩や貝月山花崗閃緑岩などとはかなり異なり、石英とカリ長石が文象構造をなすことで比較的浅い場所で固結した貫入岩であることをうかがわせる岩相を示すこと、新第三紀の安山岩類と考えられる捕獲岩を多数含むことなどから、その形成時期に疑問がもたれるようになり、年代測定の結果から新第三紀中新世の前期に形成された岩体であることが確定した。
熱変成作用
既存の岩石が熱いマグマと接触して岩石組織や組成を変えられてしまう現象で、接触変成作用ともいう。この作用で形成された岩石を熱変成岩あるいは接触変成岩といい、これを「ホルンフェルス」と呼ぶこともある。これはドイツ語で、ホルン=角のように固くなったフェルス=様子を意味しており、もともとは泥岩を源岩とする熱変成岩に用いられた用語であるが、すべての熱変成岩に用いられることが多い。熱をもたらすマグマは接触した岩石に熱を奪われて冷却していくから、熱変成作用は花崗岩体を形成するような大きな容量をもつマグマの周辺で起こりやすい。
溶結凝灰岩
火砕流によりもたらされた堆積物が溶結作用を受けると、その程度により強溶結、弱溶結、非溶結凝灰岩となり、一般には強溶結凝灰岩をさしていう。おもに火山灰が集まって形成された岩石ではあるが、強く圧密化した岩石となり、きわめて堅硬な岩石となる。
地質年代