蜂屋累層
可児地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪層群全体としても最下部層をなす。美濃加茂市南部に広く分布し、おもに安山岩質~玄武岩質の火砕岩・水中自破砕溶岩・貫入岩などからなり、凝灰質砂岩や凝灰質シルト岩などの湖沼性堆積岩層をともなう。火山活動は浅い水中で起こり、火砕岩類のほとんどはマグマ水蒸気爆発により形成されたと考えられている。層厚は約300mである。
中村累層
可児地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、御嵩町・可児市・美濃加茂市南部に広く分布する。層厚は約120mで、礫岩や凝灰質砂岩・シルト岩互層からなる下部層と褐炭層をはさむ凝灰質砂岩・シルト岩からなる上部層とに分けられている。哺乳動物化石としてサイ、バク、シカなどが産出したことで知られており、湖沼性の貝類化石や寒冷性の植物化石も多く含まれる。御嵩亜炭鉱群はこの褐炭層を採掘していた。
平牧累層
可児地域に分布する瑞浪層群のうち上部層を構成し、可児市から御嵩町へかけての地域に分布する。層厚は80m以上で、凝灰角礫岩や巨岩塊を含む凝灰岩などからなる下部層と凝灰質砂岩などからなる上部層に分けられている。ゴンフォテリウムというゾウやアンキテリウムという小型のウマなどの哺乳動物化石が産出したことで知られており、平牧動物化石群と呼ばれている。湖沼性の貝類化石や温暖性の植物化石が含まれている。
土岐夾炭累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪市や土岐市一帯に広く分布する。層厚は約140mで、おもに泥岩・砂岩・角礫岩からなり、褐炭・凝灰岩をはさみ、冷温な気候を示す植物化石が含まれる。厚い褐炭層が何枚かにわたり分布し、その一部は土壌改良剤などとして新日吉鉱山で採掘されている。礫岩は基底部にあり、そこに形成されウラン鉱床を採掘しようとしたのが東濃鉱山である。
本郷累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、瑞浪市日吉町・土岐町に分布する。瑞浪市街地周辺に分布する明世累層などとほぼ同時期に形成され、火山噴出物が直接的あるいは間接的に運び込まれたことで形成された地層である。層厚は約70mで、全体が白色をなした凝灰岩類からなり、扁平な白色の軽石や黒色の炭化木片をかなり多く含み、生えている木々を高温状態の火砕流が取り込んだことを示している。場所によっては溶結凝灰岩となって堅硬になっており、この時期にはかなり活発な火山活動が起こっていたことになるが、その噴出源となる火山体の位置はまだ正確にわかっていない。
明世累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、瑞浪地域の全域にわたり層厚200~250mで分布する海成層で、分布域の中心部と周縁部で岩相が大きく異なる。中心部では全体に凝灰質で、無層理の泥質細粒砂岩、シルト岩~細粒砂岩、軽石質凝灰岩と細粒凝灰岩~凝灰質泥岩の互層などが漸移的に積み重なり、周縁部では礫岩を含む砂岩、砂岩泥岩互層などからなる。大型哺乳類化石としてデスモスチルスやパレオパラドキシアが、周縁部の宿洞(しゅくぼら)相と呼ばれる砂岩層には大型有孔虫化石のミオジプシナがそれぞれ含まれることで知られ、全体に300種を超える貝類化石が産出する。
生俵累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち上部層を構成し、瑞浪市や土岐市一帯に広く分布する。最大層厚約160mで、おもに無層理の均質な泥岩からなり、生俵植物群と呼ばれる温暖な気候下の植物群が含まれるが、貝類化石は少ない。
阿木累層
岩村地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、中津川市阿木町周辺から恵那市岩村町、山岡町へかけての広い範囲に分布する。層厚は約60mで、おもに凝灰質の砂岩やシルト岩からなり、軽石粒を多く含み、褐炭層をはさむ。動物化石は含まれず、淡水性の植物化石が含まれる。
遠山累層
岩村地域に分布する瑞浪層群のうち上部層を構成し、中津川市阿木町から恵那市岩村町、山岡町へかけての広い範囲に分布する。層厚約150mで、おもに凝灰質の細~中粒砂岩やシルト岩などからなり、多くの半淡水~浅海性の貝類化石や植物化石をふくむ。
地質年代