地層名 中村累層【M2】 なかむらるいそう
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代表地点 御嵩(みたけ)町伏見 木曽川南岸
形成時期 中新世前期
概要    可児地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、御嵩町・可児市・美濃加茂市南部に広く分布する。層厚は約120mで、礫岩や凝灰質砂岩・シルト岩互層からなる下部層と褐炭層をはさむ凝灰質砂岩・シルト岩からなる上部層とに分けられている。哺乳動物化石としてサイ、バク、シカなどが産出したことで知られており、湖沼性の貝類化石や寒冷性の植物化石も多く含まれる。御嵩亜炭鉱群はこの累層の褐炭層を採掘していた。
文献
  • Yoshida,S.(1963-65) Stratigraphy and Petrography of the Miocene Kani Group in the western part of the Kani Basin, Gifu Pref.(1-3). Bull.Aichi Univ.Educ., (Nat.Sci.)., vol.12, 61-80; vol.13, 93-118; vol.14, 85-96.
  • 写真 御嵩町伏見の木曽川南岸に露出する中村累層の褐炭層
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 準備中
    瑞浪層群
    新第三紀の中新世に西南日本の古瀬戸内海と呼ばれる海に堆積した地層群の一つで、岐阜県の中濃地方から東濃地方へかけての可児・瑞浪・岩村の3地域に分かれて分布する。可児地域では下位から蜂屋累層、中村累層、平牧累層に、瑞浪地域では同じく土岐夾炭累層、本郷累層、明世累層、生俵累層に、岩村地域では同じく阿木累層、遠山累層にそれぞれ区分されている。これらは、大きくみると淡水域から汽水域、海域へと堆積環境が変化していったが、設楽層群などの他地域に分布する地層群に比べると浅海性の傾向がみられる。
    御嵩亜炭鉱群
    御嵩町一帯から可児市北東部へかけての地域には、瑞浪層群の中でこの地域における下部層をなす中村累層が広く分布し、その中に大量の褐炭層が含まれている。この褐炭層は明治初期から亜炭として採掘され、この地域は亜炭の一大産地となり、1947(昭22)年ごろの最盛期には全国産出量の1/4以上を占め、“炭鉱の町”として栄えた。しかし、燃料事情が好転するとともに需要が激減し、1968(昭43)年にはすべての炭鉱が閉山された。亜炭の採掘は、褐炭層の一部を柱状に残して坑道の安定を支える「残柱方式」と呼ばれる方法でなされたため、その残柱部分が次第に劣化していくことで崩壊し、支えを失うことで地表の陥没を引き起こす“鉱害”が発生するようになった。そのため坑道の埋戻し作業が始められようとしている。

    地質年代