地層名 姫栗花崗岩【Gh】 ひめぐりかこうがん
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代表地点 恵那市笠置町姫栗付近
形成時期 白亜紀後期(約6,700万~6,800万年前)
概要    濃飛流紋岩の南西縁部において東西方向あるいは西南西~東南東方向に幅0.5~1㎞、長さ約15㎞にわたり延びた岩脈状岩体をなして分布する。岩体の東部はNOHI-1のコールドロンの北縁に沿う弧状岩脈をなし、西部はNOHI-2およびNOHI-3南西縁のコールドロン縁辺部に沿う岩脈をなす。岩体の東部では細粒~中粒黒雲母花崗岩から、西部では優白質の花崗斑岩からそれぞれなり、両岩相は漸移的関係にある。苗木花崗岩から分岐した岩体と考えられており、苗木花崗岩に比べて黒雲母の量がやや多いこと、ペグマタイトをともなわないことなどの特徴をもつ。
文献
  • 山田直利・赤羽久忠(2005)濃飛流紋岩を貫く花崗岩類.地団研専報,53号,89-97頁.
  • 写真 恵那市笠置町姫栗における姫栗花崗岩
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 恵那市笠置町姫栗の笠置山南東林道における姫栗花崗岩
    (撮影:小井土由光)
    濃飛流紋岩
    濃飛流紋岩は、岐阜県の南東端にあたる恵那山(標高2191m)付近から北部の飛騨市古川町付近へかけて、幅約35km、延長約100kmにわたり北西~南東方向にのび、岐阜県の約1/4の面積を占める巨大な岩体である。この岩体を構成する岩石のほとんどは、火砕流として流れ出た火山砕屑物がたまって形成された火砕流堆積物からなり、しかもその大部分は堅硬に固結した溶結凝灰岩になっており、厚さ数百mで、水平方向へ20~60kmの広がりをもち、岩相・岩質が類似した火山灰流シートとして何枚にもわたって重なりあっている。それらは大きく6つの活動期(NOHI-1~NOHI-6)に区分されており、岐阜県内にはNOHI-6だけが分布しない。これらの火山岩類には花崗岩類が密接にともなわれ、それらを含めて大きく2期(第1期火成岩類・第2期火成岩類)に分けられる火山-深成複合岩体を形成している。第1期の活動は白亜紀後期の約8,500万~8,000万年前にあり、NOHI-1とNOHI-2の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。第2期の活動は約7,500万~6,800万年前にあり、NOHI-3~NOHI-5(おそらくNOHI-6)の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。これらは活動の場所を南部から北部へと移しながら巨大な火山岩体を作り上げた。
    コールドロン
    火山活動に関係して形成される凹地をカルデラというが、もともとは地形として認識できる場合に使われる用語であった。そのため、古い時代に形成された火山体で地形上の特徴が削剥されてわからなくなってしまった火山性陥没構造をコールドロンという。最近ではこれらの区別を厳密にしない傾向があり、すべて「カルデラ」と表現されている場合がしばしばみられる。
    苗木花崗岩
    中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
    ペグマタイト
    花崗岩質の岩石に多く形成されるため巨晶花崗岩ともいう。花崗岩とほぼ同じ鉱物からなり、それらが著しく粗粒で、長石類と石英が文象構造をなしている岩石で、マグマが冷却固結していく過程で温度や圧力が低下し、鉱物中に取り込まれにくかったガス成分等がマグマ溜りの天井部に集まって空洞を形成し、そこに大きな結晶を成長させることで形成される。空洞内には鉱物に取り込まれずにマグマ中に残された元素が結びついて希産鉱物を作ることが多く、宝石あるいは鉱物標本として採取されたりする。


    地質年代