地層名 砂岩・泥岩【Mss・Mmd・Mal】 さがん/でいがん
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代表地点 坂祝町 木曽川河床(日本ライン)
形成時期 ジュラ紀
概要    美濃帯堆積岩類において、海洋プレートが大洋上にあった時に堆積させたチャートなどの遠洋性堆積物とはまったく異なり、海洋プレートが大陸の縁辺に近づき、海溝で沈み込んでいく際に陸域から供給される砕屑物である。厚い砂岩層として単独の地質体を作る場合もあるが、それらの多くは海底地すべりを起こして混濁流としてもたらされたタービダイトを形成して砂岩と泥岩の互層をなして産する。
文献
  • 写真 坂祝町勝山の木曽川河床に露出する砂岩
    (撮影:小井土由光)
    写真 坂祝町勝山の木曽川河床に露出する泥岩
    (撮影:小井土由光)
    美濃帯堆積岩類
    美濃帯は、飛騨外縁帯の南側にあってかなり幅広く分布する地質帯で、岐阜県内でも広範囲にわたる地域を占める。そこは、古生代石炭紀から中生代白亜紀最前期にかけての時期にチャート・石灰岩・砂岩・泥岩・礫岩などの海底に堆積した堆積岩類と海底に噴出した緑色岩(玄武岩質火山岩類)でおもに構成されている。下図に示すように、海洋プレートの上に噴出した玄武岩質火山岩類は海底や火山島(海山)を形成して、その上にチャートや石灰岩・珪質泥岩などを徐々に堆積させながら大陸へ向かって年間数cmほどの速さで移動していく。海洋プレートは海溝部で大陸の下へ沈み込んでいくが、堆積物はいっしょに沈み込むことができず、はぎ取られたり、大陸側から運び込まれた砂岩・泥岩などとともに大陸側へ押し付けられ、混じり合って複合体(コンプレックス)を作りあげていく。こうした作用を付加作用といい、それにより形成された堆積物は付加体堆積物と呼ばれ、これまでそれらを総称して「美濃帯中・古生層」、「美濃帯中生層」、「美濃帯堆積岩コンプレックス」などといろいろな表現で呼ばれてきたが、ここではこれらを「美濃帯堆積岩類」と呼ぶ。それらは、それまで順に重なっていた地層が付加作用にともなって低角の断層を境にして屋根瓦のように繰り返して覆うように重なったり、複雑に混じりあったメランジュと呼ばれる地質体を構成し、整然とした地層として順番に連続して重なるようなことがほとんどない。そのため全域にわたり個々の地層名を付して表現することがむずかしいため、ここでは構成岩石の種類(岩相)によって表現する。これらの構成岩石は単独でも複数の組合せでもある程度の大きさを持つ地質体を形成しており、その大きさはcmオーダーの礫からkmオーダーの岩体までさまざまである。これらは岩相、形成時期、形成過程などの類似性から複数の地質ユニットに区分され、ユニット間は衝上断層で接することが多いが、その区分による表現はここでは用いない。
    混濁流
    砕屑物と水の混合物が重力によって流れ下る現象の一つで、乱流状態にある水が多量の砕屑物を浮かせたまま高密度状態で流れるもので、海底の斜面にいったん堆積したものが地震などを引き金にして斜面を流れ下るときにみられる。乱泥流、懸濁流ともいう。こうした運搬機構で堆積した堆積物がタービダイト(乱泥流堆積物)である。
    タービダイト
    混濁流で深海底に運ばれた陸源性の堆積物で、乱泥流堆積物ともいう。一般に、下位層を浸食し、流動にともなうソールマークが下底面に見られること、上方へ向かって砂岩から泥岩へ移化していく級化成層が顕著に見られ、その互層として産するなどの特徴をもつ。


    地質年代