地層名 下在所石灰岩層【IC】 しもざいしょせっかいがんそう
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代表地点 郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)下在所
形成時期 石炭紀
概要    郡上市石徹白地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類で、石徹白の下在所周辺に分布し、おもに石灰岩からなり、層厚は最大460mで、石炭紀中期を示すフズリナウミユリの化石を含む。正式には「下在所粘板岩・石灰岩互層」と命名された地層であるが、その後の研究がまったくないことからここでは便宜的に表記のように呼ぶ。
文献
  • 小西健二(1954)福井県石徹白村の古生層.地質学雑誌,60巻,7-17頁.
  • 写真 郡上市白鳥町石徹白南方に分布する下在所石灰岩
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 準備中
    飛騨外縁帯構成岩類
    飛騨外縁帯は、飛騨帯の南側を取りまくように幅数~30kmほどで細長く分布する地質帯である。岐阜県地域では飛騨山脈の槍ヶ岳(標高3180m)付近から高山市の奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷(ならだに)、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)などに断片的に配列して露出している。そこを構成している岩石はかなり変化に富み、古生代に形成された非変成の砕屑岩類や火山岩類、結晶片岩などからなる変成岩類、超苦鉄質岩(U)から変化した蛇紋岩と呼ばれる岩石などである。これらの岩石は、飛騨帯構成岩類を一部に含めた当時の大陸(中朝地塊と呼ばれる)の東縁で形成された陸棚や浅海性の堆積物および火山砕屑物が中生代ジュラ紀中ごろまでに大規模な横ずれ運動をともなって飛騨帯構成岩類と接するようになり、その過程でもたらされた変成岩類や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成されたと考えられている。ただし、飛騨外縁帯と飛騨帯との間には、富山県地域や新潟県地域などにおいて宇奈月帯あるいは蓮華帯と呼ばれる変成岩類で構成された地帯が分布しており、岐阜県地域においてもそれらとよく似た性質の岩石が断片的に分布するが、よくわかっていない点もあるため、ここではすべて飛騨外縁帯の構成岩類として扱う。
    フズリナ
    古生代の石炭紀~ペルム紀にいた石灰質の殻をもつ有孔虫であり、温暖な地域の海底付近に棲息し、当時のサンゴ礁と考えられている石灰岩中に多量に含まれることで知られる。単細胞の原生動物であるが、進化の過程で複雑な殻の形態をもつようになり、それが示準化石として重要な役割を演じている。岐阜県地域では美濃帯堆積岩類の石灰岩中に頻繁に含まれ、なかでも大垣市の金生山に分布する赤坂石灰岩に含まれるフズリナは、ギュンベルにより1874(明7)年に日本産化石に関する最初の論文として報告されたものであり、そのためにここが「日本の古生物学発祥地」とされている。
    ウミユリ
    称から植物のような印象を与えるが、ヒトデやウニと同じ棘皮動物の仲間である。現生のものもあるが、古生代後期の化石として多く見られる。根や茎のように見える支持体と花弁のような腕を持っている。支持体が小さな節に分かれており、化石としてはそれらがばらばらになって全形をとどめないことが多い。岐阜県地域では、フズリナなどとともに美濃帯堆積岩類の石灰岩にしばしば含まれる。


    地質年代