地層名 双六谷結晶片岩【S】 すごろくだにけっしょうへんがん
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代表地点 金木戸(かなきど)川最上流部の双六谷流域
形成時期 時代未詳
概要    高原川支流の金木戸(かなきど)川最上流部にあたる双六谷流域に飛騨帯構成岩類の飛騨花崗岩類の中に点在した岩体として分布する。おもに苦鉄質火山岩を源岩とする結晶片岩と砂岩・泥岩を源岩とする結晶片岩からなり、石灰岩を源岩とする結晶片岩もともなわれる。飛騨外縁帯構成岩類蒲田結晶片岩槍ヶ岳結晶片岩とは異なる変成過程を経たと考えられているが、花崗岩による熱変成作用を強く受けているため岩石の状態がよくわからない。
文献
  • 原山 智・竹内 誠・中野 俊・佐藤岱生・滝沢文教(1991)槍ヶ岳地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,190頁.
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    飛騨帯構成岩類
    飛騨帯は、岐阜県の北部から北陸地方へかけての地域に広がる変成岩類と花崗岩類からなる地質帯である。ただし、これらの構成岩類がこの地域のどこにでも分布しているわけではなく、それ以降に形成された岩石類に覆われたり貫かれているために、実際にはかなり限られた地域にだけ分布する。変成岩類は総称して「飛騨片麻岩類」と呼ばれ、それらを形成した広域変成作用の時期についてはいくつかの見解があるが、おおよそ3億年~4億5000万年前(古生代石炭紀・シルル紀・デボン紀)と2億4000万年前ごろの少なくとも2回にわたり重複した変成作用で形成されたとされている。花崗岩類はこれまで「船津花崗岩類」と呼ばれ、1億8000万年前(中生代ジュラ紀)に飛騨外縁帯構成岩類の分布域にまで及ぶ範囲に一斉に貫入したことで飛騨片麻岩類に熱変成作用をもたらしたと考えられてきた。しかし、それらの中には古い年代を示す岩体もあり、一律に扱うことができないことがわかってきたため、それらの形成時期を少なくとも2期に分けて区別するようになった。変成岩類も花崗岩類も複数回におよぶ複雑な過程を経て形成されているために、すべての飛騨帯構成岩類を全域にわたって一定の基準で表現することはかなりむずかしいことから、ここではそれらを「飛騨変成岩類」、「飛騨花崗岩類」と呼び、それぞれを6種類と10種類の岩相に区分することで表現する。そのため1つの岩相で示される岩石の中にも別の変成・深成作用で形成された岩石が含まれている場合もある。

    結晶片岩
    広域変成作用により地下深部の高い圧力下で再結晶したことで雲母のような板状の鉱物などが方向性をもって配列し、片理をもつ板状に割れやすい変成岩の一種である。源岩の成分と変成条件により形成された特徴的な変成鉱物の名を冠して石英片岩や緑泥石片岩などと呼ばれたり、源岩の種類を冠して泥質片岩や砂質片岩などと呼ばれる。
    飛騨外縁帯構成岩類
    飛騨外縁帯は、飛騨帯の南側を取りまくように幅数~30kmほどで細長く分布する地質帯である。岐阜県地域では飛騨山脈の槍ヶ岳(標高3180m)付近から高山市の奥飛騨温泉郷、丹生川町北部~国府町地域、清見町楢谷(ならだに)、郡上市白鳥町石徹白(いとしろ)などに断片的に配列して露出している。そこを構成している岩石はかなり変化に富み、古生代に形成された非変成の砕屑岩類や火山岩類、結晶片岩などからなる変成岩類、超苦鉄質岩(U)から変化した蛇紋岩と呼ばれる岩石などである。これらの岩石は、飛騨帯構成岩類を一部に含めた当時の大陸(中朝地塊と呼ばれる)の東縁で形成された陸棚や浅海性の堆積物および火山砕屑物が中生代ジュラ紀中ごろまでに大規模な横ずれ運動をともなって飛騨帯構成岩類と接するようになり、その過程でもたらされた変成岩類や超苦鉄質岩を断片的にともなって形成されたと考えられている。ただし、飛騨外縁帯と飛騨帯との間には、富山県地域や新潟県地域などにおいて宇奈月帯あるいは蓮華帯と呼ばれる変成岩類で構成された地帯が分布しており、岐阜県地域においてもそれらとよく似た性質の岩石が断片的に分布するが、よくわかっていない点もあるため、ここではすべて飛騨外縁帯の構成岩類として扱う。
    蒲田結晶片岩
    奥飛騨温泉郷地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、蒲田地区の南方にまとまって分布するほか、そこから北東方へ穂高平周辺地域へかけて断片的に小岩体として分布する。そのまま北東方へ延長すると槍ヶ岳結晶片岩に連なる。おもに苦鉄質火山岩を源岩とする結晶片岩からなり、砂岩あるいは泥岩を源岩とする結晶片岩をともない、槍ヶ岳結晶片岩とよく似た岩石からなる。
    槍ヶ岳結晶片岩
    奥飛騨温泉郷地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、槍岳山荘の南側テント場から飛騨乗越にかけての飛騨山脈主稜線付近に南北約350m、東西約600mにわたり分布する。おもに苦鉄質火山岩を源岩とする結晶片岩からなり、槍岳山荘周辺に砂岩を源岩とする結晶片岩をともなう。槍-穂高火山の穂高安山岩類に不整合に覆われること以外に形成時期を明らかにする資料は得られていない。
    熱変成作用
    既存の岩石が熱いマグマと接触して岩石組織や組成を変えられてしまう現象で、接触変成作用ともいう。この作用で形成された岩石を熱変成岩あるいは接触変成岩といい、これを「ホルンフェルス」と呼ぶこともある。これはドイツ語で、ホルン=角のように固くなったフェルス=様子を意味しており、もともとは泥岩を源岩とする熱変成岩に用いられた用語であるが、すべての熱変成岩に用いられることが多い。熱をもたらすマグマは接触した岩石に熱を奪われて冷却していくから、熱変成作用は花崗岩体を形成するような大きな容量をもつマグマの周辺で起こりやすい。
    地質年代