地層名 石灰岩(石灰珪質片麻岩等を含む)【HN1】 せっかいがん
(せっかいけいしつへんまがんとうをふくむ)
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代表地点 飛騨市宮川町 万波川下流
形成時期 不 詳
(約2億4000万年前以前)
概要    一般に縞状片麻岩の片理と調和的な岩体として飛騨帯の各地に広く分布するが、岐阜県内では小鳥(おどり)川流域や宮川流域にまとまって分布する。おもに石灰岩(大理石)からなり、単斜輝石片麻岩、石灰珪質片麻岩などをともなう。石灰珪質片麻岩と構成岩石の種類にあまり差異はないが、石灰岩の量が多い岩相として区別している。神岡町の高原川流域では閃緑岩質~トーナル岩質片麻岩中にレンズ状~薄層として産し、その他の地域でも花崗岩質片麻岩・ミグマタイト質花崗岩類中の小規模なレンズや層状岩体として分布する。
文献
  • 加納 隆(1998)飛騨帯の石灰岩類-地質特性・構成鉱物・岩石組織とドロマイトの産状-.資源地質,48巻,77-92頁.
  • 写真 飛騨市宮川町の万波川河床における石灰岩(灰色部は珪質算石灰岩)
    (撮影:加納 隆)
    写真 飛騨市神岡町の高原川河床に露出する(結晶質)石灰岩で、含まれる細粒角閃石片麻岩が反時計回りの回転運動を受けている
    (撮影:加納 隆)
    縞状片麻岩
    おもに岐阜県最北部にあたる宮川以西の万波川から小鳥(おどり)川以北の地域に広く分布し、花崗岩質片麻岩の分布域にほぼ重なる地域に分布する。細粒の黒雲母片麻岩・角閃石片麻岩・単斜輝石片麻岩が厚さ数cmの互層をなし、それらが縞状をなす岩石である。野外では、しばしば花崗岩質片麻岩などの脈状岩を密接にともない、その中に岩片として包有されるが、それらは地質図上で区別して表現できないため省略してある。また、これらの中にはアルミナ成分に富む泥質岩起源の片麻岩も含まれており、コランダム(ルビー)を含む片麻岩も見られる。
    石灰珪質片麻岩
    飛騨帯の各地に広く分布するが、岐阜県内では最北部の万波(まんなみ)川から宮川にかけての地域に比較的まとまって分布する。単斜輝石片麻岩、ざくろ石や珪灰石・緑簾石を含む石灰珪質片麻岩、石英質岩、石灰岩の薄層などからなり、花崗岩質片麻岩や伊西ミグマタイトをともなう。神岡鉱山茂住坑内では縞状構造の顕著な石灰珪質片麻岩中に閃緑岩質の深成岩(変閃緑岩もしくは閃緑岩質片麻岩となっている)が貫入し、また捕獲岩となっている。石灰岩と構成する岩石の種類は同じであるが、石灰岩の量が少なく石灰珪質岩や珪質岩の多い岩相として区別している。
    花崗岩質片麻岩・ミグマタイト質花崗岩類
    一般には飛騨変成岩類中に幅数cm~数mの脈状ないし不規則なプール状の優白質部として産し、小規模でも飛騨帯各地に広く分布する。岐阜県内では白川村地域から富山県境の水無山(標高1506m)稜線付近に比較的広く分布する。ミグマタイト構造を形成し、粗粒~細粒、塊状~片麻状組織をなし、再結晶組織を示す。白川村周辺では黒雲母片麻岩等の岩片を含み、県最北部の万波(まんなみ)川から小鳥(おどり)川以北の地域では縞状片麻岩中に脈状に産し、青灰色のカリ長石を多く含むことから“灰色花崗岩”と呼ばれる。飛騨市古川町野口から河合町角川(つのかわ)へかけての宮川河床では粗粒の花崗岩~花崗閃緑岩質片麻岩が分布し、一部は透輝石や角閃石を含み、伊西ミグマタイトとの中間的岩相を示すこともある。
    閃緑岩質~トーナル岩質片麻岩
    飛騨帯一帯に広く分布し、岐阜県内ではおもに神岡町市街地より下流の高原川流域から宮川および小鳥(おどり)川南岸にかけて分布する。おもに粗粒~中粒の角閃石片麻岩および角閃岩からなるが、部分的に長柱状自形の角閃石による巨晶組織や自形斜長石の斑状組織などの火成組織が残されており、おもに閃緑岩質~トーナル岩質、部分的には角閃石斑れい岩質の深成岩を源岩とする片麻岩であると考えられている。もともと含まれていた細粒塩基性包有物が引延ばされ、縞状構造を示すこともある。石灰岩や石灰珪質片麻岩などの堆積岩起原の変成岩を岩片状~層状の捕獲岩として含み、角礫状~不規則なブロックとして伊西ミグマタイト中に包有される。そのため、この岩石の源岩の時代は伊西ミグマタイトの形成より前で、堆積岩源片麻岩の形成より後である。

    地質年代