火山名 両白丸山火山【VH2】 りょうはくまるやまかざん
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代表地点 高山市荘川町 丸山
形成時期 更新世後期(約4万~3万年前)
概要    白山火山の南方において九頭竜火山列に属する銚子ヶ峰火山の南東側にあり、丸山(標高1,786m)・芦倉山(標高1,716m)にまたがって分布する火山体である。ほとんど安山岩質の溶岩類からなり、小規模な火砕流堆積物をともなう。ただし、公表された論文がほとんどないため詳細は不明である。
文献
  • 写真 石川県境の別山平から望む両白丸山
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 荘川町尾神郷の尾上郷川南林道に露出する両白丸山火山の溶岩の柱状節理
    (撮影:鹿野勘次)
    白山火山
    最高峰の御前峰(ごぜんがみね)(標高2702m)と剣ヶ峰(標高2677m)、大汝峰(おおなんじみね)(標高2684m)をあわせて「白山三峰」といい、それらを中心とする安山岩質の溶岩、火砕流堆積物などからなる火山体である。ただし、山頂部付近でも標高2400m付近まで基盤岩類が分布しており、それらの上にきわめて薄く噴出物が覆っているに過ぎない。加賀室火山(約42万~32万年前)、古白山火山(約13万~6万年前)、新白山火山(約4万年前以降)の3つの活動時期に分けられるが、前二者は現在の主峰から離れた周囲の尾根上に残っているだけで、ほとんどが削剥されてしまっている。とりわけ古白山火山は、現在の大汝峰の北側にあたる石川県側の地獄谷付近にあたる位置に標高3000mに達する山頂をもつ成層火山体を形成していたと考えられている。新白山火山は現在の主峰を中心とした火山体を形成しており、岐阜県側では、約4400年前に山頂付近の東側が大規模に崩落したことで馬蹄形の凹地が形成され、その崩落で発生した岩屑なだれによる堆積物が大白川岩屑流堆積物を形成し、約2200年前には山頂部付近から溶岩が東方へ流下して白水滝溶岩を形成し、その末端付近に白水滝がある。最新の活動については事項解説『災害』の項目「白山火山噴火」を参照のこと。
    九頭竜火山列
    岐阜・石川県境にある白山(標高2702m)を中心とする両白山地北部に分布する火山群のうち、鮮新世~更新世前期に形成された火山群で、北西から南東に向かって大日山火山、取立山(とりたてやま)火山、赤兎山(あかうさぎやま)火山、経ヶ岳(きょうがたけ)・法恩寺山火山、願教寺山(がんきょうじやま)・三ノ峰火山、大日ヶ岳火山、烏帽子・鷲ヶ岳火山の7つの火山体が並ぶ。これらのうち後三者が岐阜県地域に分布する。全体に安山岩質の溶岩層が卓越していることを特徴としている。これに対して、更新世中期以降に形成された火山群は白山火山列といい、南北方向に並ぶ。
    銚子ヶ峰火山
    両白山地北部の県境にある三ノ峰(標高2128m)の南方約3kmにある銚子ヶ峰(標高1810m)を中心に溶岩ドームのような地形をもつ火山体をなす。願教寺山(がんきょうじやま)・三ノ峰火山の上に載るように分布する体積約1.7km³の小規模な火山で、角閃石、輝石を含む安山岩質の溶岩からなる。
    火砕流
    火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。

    地質年代