地層名 土岐花崗岩【Gn】 ときかこうがん
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代表地点 瑞浪市平岩 松野湖
形成時期 白亜紀後期(約6,700万~6,800万年前)
概要    土岐市周辺に東西約12km×南北約14kmの規模で分布し、周辺に分布する美濃帯堆積岩類に明瞭な熱変成作用を与えている。おもに塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩からなる。苗木花崗岩とほぼ同じ時期によく似た岩相・特徴をもつ花崗岩体として形成され、ウラン・トリウムなどの放射性元素を多く含み、その影響で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。多く含まれる放射性元素が被覆層の瑞浪層群土岐夾炭累層に濃集してウラン鉱床を形成している。
文献
  • 山田直利・赤羽久忠(2005)濃飛流紋岩を貫く花崗岩類.地団研専報,53号,89-97頁.
  • 写真 土岐市久尻の土岐川河床に露出する土岐花崗岩と美濃帯堆積岩類の接触部
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 御嵩町津橋における土岐花崗岩
    (撮影:鹿野勘次)
    熱変成作用
    既存の岩石が熱いマグマと接触して岩石組織や組成を変えられてしまう現象で、接触変成作用ともいう。この作用で形成された岩石を熱変成岩あるいは接触変成岩といい、これを「ホルンフェルス」と呼ぶこともある。これはドイツ語で、ホルン=角のように固くなったフェルス=様子を意味しており、もともとは泥岩を源岩とする熱変成岩に用いられた用語であるが、すべての熱変成岩に用いられることが多い。熱をもたらすマグマは接触した岩石に熱を奪われて冷却していくから、熱変成作用は花崗岩体を形成するような大きな容量をもつマグマの周辺で起こりやすい。
    苗木花崗岩
    中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。
    ペグマタイト
    花崗岩質の岩石に多く形成されるため巨晶花崗岩ともいう。花崗岩とほぼ同じ鉱物からなり、それらが著しく粗粒で、長石類と石英が文象構造をなしている岩石で、マグマが冷却固結していく過程で温度や圧力が低下し、鉱物中に取り込まれにくかったガス成分等がマグマ溜りの天井部に集まって空洞を形成し、そこに大きな結晶を成長させることで形成される。空洞内には鉱物に取り込まれずにマグマ中に残された元素が結びついて希産鉱物を作ることが多く、宝石あるいは鉱物標本として採取されたりする。
    瑞浪層群
    新第三紀の中新世に西南日本の古瀬戸内海と呼ばれる海に堆積した地層群の一つで、岐阜県の中濃地方から東濃地方へかけての可児・瑞浪・岩村の3地域に分かれて分布する。可児地域では下位から蜂屋累層、中村累層、平牧累層に、瑞浪地域では同じく土岐夾炭累層、本郷累層、明世累層、生俵累層に、岩村地域では同じく阿木累層、遠山累層にそれぞれ区分されている。これらは、大きくみると淡水域から汽水域、海域へと堆積環境が変化していったが、設楽層群などの他地域に分布する地層群に比べると浅海性の傾向がみられる。
    土岐夾炭累層
    瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪市や土岐市一帯に広く分布する。層厚は約140mで、おもに泥岩・砂岩・角礫岩からなり、褐炭・凝灰岩をはさみ、冷温な気候を示す植物化石が含まれる。厚い褐炭層が何枚かにわたり分布し、その一部は土壌改良剤などとして新日吉鉱山で採掘されている。礫岩は基底部にあり、そこに形成されウラン鉱床を採掘しようとしたのが東濃鉱山である。
    美濃帯堆積岩類
    美濃帯は、飛騨外縁帯の南側にあってかなり幅広く分布する地質帯で、岐阜県内でも広範囲にわたる地域を占める。そこは、古生代石炭紀から中生代白亜紀最前期にかけての時期にチャート・石灰岩・砂岩・泥岩・礫岩などの海底に堆積した堆積岩類と海底に噴出した緑色岩(玄武岩質火山岩類)でおもに構成されている。下図に示すように、海洋プレートの上に噴出した玄武岩質火山岩類は海底や火山島(海山)を形成して、その上にチャートや石灰岩・珪質泥岩などを徐々に堆積させながら大陸へ向かって年間数cmほどの速さで移動していく。海洋プレートは海溝部で大陸の下へ沈み込んでいくが、堆積物はいっしょに沈み込むことができず、はぎ取られたり、大陸側から運び込まれた砂岩・泥岩などとともに大陸側へ押し付けられ、混じり合って複合体(コンプレックス)を作りあげていく。こうした作用を付加作用といい、それにより形成された堆積物は付加体堆積物と呼ばれ、これまでそれらを総称して「美濃帯中・古生層」、「美濃帯中生層」、「美濃帯堆積岩コンプレックス」などといろいろな表現で呼ばれてきたが、ここではこれらを「美濃帯堆積岩類」と呼ぶ。それらは、それまで順に重なっていた地層が付加作用にともなって低角の断層を境にして屋根瓦のように繰り返して覆うように重なったり、複雑に混じりあったメランジュと呼ばれる地質体を構成し、整然とした地層として順番に連続して重なるようなことがほとんどない。そのため全域にわたり個々の地層名を付して表現することがむずかしいため、ここでは構成岩石の種類(岩相)によって表現する。これらの構成岩石は単独でも複数の組合せでもある程度の大きさを持つ地質体を形成しており、その大きさはcmオーダーの礫からkmオーダーの岩体までさまざまである。これらは岩相、形成時期、形成過程などの類似性から複数の地質ユニットに区分され、ユニット間は衝上断層で接することが多いが、その区分による表現はここでは用いない。
    地質年代