地層名 河岐トーナル岩【Gk】 かわまたとーなるがん
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代表地点 白川町河岐の飛騨川河床
形成時期 白亜紀後期(約8,700万年前)
概要    JR高山線白川口駅北方の飛騨川河床に約0.8×1.5kmの規模で分布し、それ以外にもJR高山線飛騨金山駅東方などにも小岩体として分布する。無色鉱物としてカリ長石をほとんど含まない中粒トーナル岩からなり、一部に石英閃緑岩質の部分も見られる。全体に変質作用受けている。美濃帯堆積岩類を貫き、濃飛流紋岩不整合に覆われる深成岩体であるが、形成年代値からみると、アワラ谷花崗閃緑岩北俣谷閃緑岩などのいわゆる“1億年岩石”には相当しない。
文献
  • 水谷伸治郎・小井土由光(1992)金山地域の地質.地域地質研究報告(5万分の1地質図幅),地質調査所,111頁.
  • 写真 白川町河岐の飛騨川河床に露出する河岐トーナル岩
    (撮影:小井土由光)
    写真 準備中
    美濃帯堆積岩類
    飛騨帯は、岐阜県の北部から北陸地方へかけての地域に広がる変成岩類と花崗岩類からなる地質帯である。ただし、これらの構成岩類がこの地域のどこにでも分布しているわけではなく、それ以降に形成された岩石類に覆われたり貫かれているために、実際にはかなり限られた地域にだけ分布する。変成岩類は総称して「飛騨片麻岩類」と呼ばれ、それらを形成した広域変成作用の時期についてはいくつかの見解があるが、おおよそ3億年~4億5000万年前(古生代石炭紀・シルル紀・デボン紀)と2億4000万年前ごろの少なくとも2回にわたり重複した変成作用で形成されたとされている。花崗岩類はこれまで「船津花崗岩類」と呼ばれ、1億8000万年前(中生代ジュラ紀)に飛騨外縁帯構成岩類の分布域にまで及ぶ範囲に一斉に貫入したことで飛騨片麻岩類に熱変成作用をもたらしたと考えられてきた。しかし、それらの中には古い年代を示す岩体もあり、一律に扱うことができないことがわかってきたため、それらの形成時期を少なくとも2期に分けて区別するようになった。変成岩類も花崗岩類も複数回におよぶ複雑な過程を経て形成されているために、すべての飛騨帯構成岩類を全域にわたって一定の基準で表現することはかなりむずかしいことから、ここではそれらを「飛騨変成岩類」、「飛騨花崗岩類」と呼び、それぞれを6種類と10種類の岩相に区分することで表現する。そのため1つの岩相で示される岩石の中にも別の変成・深成作用で形成された岩石が含まれている場合もある。
    濃飛流紋岩
    濃飛流紋岩は、岐阜県の南東端にあたる恵那山(標高2191m)付近から北部の飛騨市古川町付近へかけて、幅約35km、延長約100kmにわたり北西~南東方向にのび、岐阜県の約1/4の面積を占める巨大な岩体である。この岩体を構成する岩石のほとんどは、火砕流として流れ出た火山砕屑物がたまって形成された火砕流堆積物からなり、しかもその大部分は堅硬に固結した溶結凝灰岩になっており、厚さ数百mで、水平方向へ20~60kmの広がりをもち、岩相・岩質が類似した火山灰流シートとして何枚にもわたって重なりあっている。それらは大きく6つの活動期(NOHI-1~NOHI-6)に区分されており、岐阜県内にはNOHI-6だけが分布しない。これらの火山岩類には花崗岩類が密接にともなわれ、それらを含めて大きく2期(第1期火成岩類・第2期火成岩類)に分けられる火山-深成複合岩体を形成している。第1期の活動は白亜紀後期の約8,500万~8,000万年前にあり、NOHI-1とNOHI-2の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。第2期の活動は約7,500万~6,800万年前にあり、NOHI-3~NOHI-5(おそらくNOHI-6)の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。これらは活動の場所を南部から北部へと移しながら巨大な火山岩体を作り上げた。
    不整合
    重なった地層の間において著しい堆積間隙のある状態で堆積している場合をいい、実際にはその間に隆起・削剥や深成岩類の貫入、構造運動などの事象が起こっていることに着目して用いられることが多い。整合の対語である。
    アワラ谷花崗閃緑岩
    白川村南西部にあたる大白川支流のアワラ谷中~上流域からその南方の高山市荘川町西部にあたる尾神郷(おがみごう)川北岸地域へかけての広範囲に分布し、隣接して分布する北俣谷閃緑岩よりもいくらか珪長質で花崗閃緑岩質の岩相を示すことで区別されてきたが、それとほぼ同じ約1億年前の形成年代を示すことから、一続きの岩体と考えられている。手取層群を貫き、それに明確に熱変成作用を与えており、飛騨山脈の黒部五郎岳(標高2840m)周辺の山稜部に分布する黒部五郎岳閃緑岩・北ノ俣岳閃緑岩などとともに、“後手取・先濃飛”期の深成岩体である。
    北俣谷閃緑岩
    御母衣(みぼろ)湖西岸の北俣谷中流域およびその西方のアワラ谷下流域に分布し、石英モンゾ閃緑岩~ハンレイ岩からなる。ほぼ1億年前の形成年代を示し、先濃飛安山岩類を貫き、庄川火山-深成複合岩体の火山岩類に不整合に覆われる。アワラ谷中~上流域からその南方にかけて分布するアワラ谷花崗閃緑岩と異なる岩相を示すが、ほぼ同じ形成年代を示し、一続きの岩体と考えられている。
    地質年代