地層名 天竜峡花崗岩【Gt】 てんりゅうきょうかこうがん
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代表地点 恵那市上矢作町 大船山南方
形成時期 白亜紀前期(約1億年前)
概要    長野県南部の天竜峡付近に模式的に分布し、領家帯構成岩類としてもともとは領家帯に広く分布していたと考えられる花崗岩であるが、後から濃飛期火成岩類の花崗岩類に広く貫かれてしまっているために分布は断片的になっている。岐阜県地域においてはその南東端部のかなり限られた範囲にだけ分布する。おもに粗粒・斑状の黒雲母花崗岩からなり、領家変成岩類の構造とほぼ平行に、石英・長石の多い白色の部分と黒雲母の多い黒色の部分が片麻状構造をつくる。
文献
  • 写真 恵那市上矢作町の達原渓谷に露出する天竜峡花崗岩
    (撮影:小井土由光)
    写真 準備中
    領家帯構成岩類
    領家帯構成岩類の一つとして典型的な低圧・高温型変成作用で形成された変成岩類からなる。美濃帯堆積岩類の分布域へ向かって変成度が低下していき、やがて漸移していく。岐阜県地域においては、この変成岩類をもたらした領家帯構成岩類を代表する花崗岩である天竜峡花崗岩あるいはそれよりも後に濃飛期火成岩類として大規模に形成された伊奈川花崗岩に広域にわたり貫かれ、小規模に分布しているだけである。いずれも砂岩や泥岩を原岩とする雲母片岩からなり、片理(片状構造)が明瞭な岩石である。
    濃飛期火成岩類
    濃飛流紋岩は、岐阜県の南東端にあたる恵那山(標高2191m)付近から北部の飛騨市古川町付近へかけて、幅約35km、延長約100kmにわたり北西~南東方向にのび、岐阜県の約1/4の面積を占める巨大な岩体である。この岩体を構成する岩石のほとんどは、火砕流として流れ出た火山砕屑物がたまって形成された火砕流堆積物からなり、しかもその大部分は堅硬に固結した溶結凝灰岩になっており、厚さ数百mで、水平方向へ20~60kmの広がりをもち、岩相・岩質が類似した火山灰流シートとして何枚にもわたって重なりあっている。それらは大きく6つの活動期(NOHI-1~NOHI-6)に区分されており、岐阜県内にはNOHI-6だけが分布しない。これらの火山岩類には花崗岩類が密接にともなわれ、それらを含めて大きく2期(第1期火成岩類・第2期火成岩類)に分けられる火山-深成複合岩体を形成している。第1期の活動は白亜紀後期の約8,500万~8,000万年前にあり、NOHI-1とNOHI-2の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。第2期の活動は約7,500万~6,800万年前にあり、NOHI-3~NOHI-5(おそらくNOHI-6)の活動と引き続く花崗岩類の活動があった。これらは活動の場所を南部から北部へと移しながら巨大な火山岩体を作り上げた。
    片麻状構造
    等粒状完晶質の岩石において、片理をもつ有色鉱物に富む優黒質部と粗粒の無色鉱物に富む優白質部の互層からなる縞状構造が顕著になったもの。必ずしも片麻岩に使う用語ではなく、花崗岩の組織を表現する場合にしばしば用いられる。
    領家変成岩類
    領家帯構成岩類の一つとして典型的な低圧・高温型変成作用で形成された変成岩類からなる。美濃帯堆積岩類の分布域へ向かって変成度が低下していき、やがて非変成岩に漸移していく。岐阜県地域においては、この変成岩類の形成にかかわる領家帯構成岩類を代表する花崗岩である天竜峡花崗岩、あるいはそれよりも後に濃飛期火成岩類として大規模に形成された伊奈川花崗岩に広域にわたり貫かれ、小規模に分布しているだけである。いずれも砂岩や泥岩を原岩とする雲母片岩からなり、片理(片状構造)が明瞭な岩石である。
    地質年代