鉱山名 笠ヶ岳鉱山 かさがたけこうざん
所在地 高山市奥飛騨温泉郷新穂高
 対象資源 鉛・亜鉛 (廃鉱)
概 要
   笠ヶ岳コールドロンを構成する穴毛谷層をほぼ東西方向に数cm~2mの幅、延長約400mで貫く鉱脈型鉱床を稼行対象とした鉱山であった。後から貫いている奥丸沢花崗岩内に鉱化作用が広範囲に認められることから、そこからの熱水によりもたらされた鉱床と思われ、主要な鉱石鉱物は閃亜鉛鉱と方鉛鉱であり、少量の硫砒鉄鉱、磁硫鉄鉱、黄銅鉱、黄鉄鉱をともなう。1938(昭13)~1942(昭17)年に採掘がなされ、精鉱として約3,400トンを産出している。
笠ヶ岳鉱山産の方鉛鉱鉱石(写真上部で白色に輝いて見えるもののほか微粒としてかなり含まれている;笠ヶ岳穴毛谷第三尾根)
(提供:原山 智,撮影:棚瀬充史)
 
文 献 服部富雄・大津秀夫(1952)岐阜県笠ヶ岳鉱山鉛・亜鉛鉱床調査報告.地質調査所月報,3巻,233-241頁.  
笠ヶ岳コールドロン
飛騨山脈の笠ヶ岳(標高2898m)周辺に分布し、これまで「笠ヶ岳流紋岩類」と呼ばれてきた火山岩類に対して、それらの形成過程を強調して与えられている名称である。もともとの岩体はほぼ完全な楕円形状をしていたらしく、引き続く深成活動や後からの火成活動により現在はその東半分が失われており、東西約12km×南北約11kmの規模で分布している。二重の環状断層で区切られた二重陥没構造をもつコールドロンからなり、隆起量の大きい地域に分布しているためにその内部がよく観察できる。おもに流紋岩質~流紋デイサイト質の溶岩・溶結凝灰岩からなり、成層した砕屑岩やごく少量の安山岩質火砕岩をともなう。下位から、中尾層、笠谷層、穴毛谷層、笠ヶ岳山頂溶結凝灰岩層に区分され、これらはほぼ水平な堆積構造を示し、積算層厚3,000m以上、総体積400km3以上の岩体を形成している。環状断層に沿って花崗斑岩の岩脈が貫入し、とりわけ外側コールドロンの縁の岩脈は連続性がきわめて良く、典型的な環状岩脈をなしている。岩体北東部で奥丸沢花崗岩に貫入され,熱変成作用を受けている。
穴毛谷層
笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類のうち第3期に形成されたもので、岩体の東部にあたる穴毛谷(あなげだに)流域,笠ヶ岳・抜戸岳(ぬけどだけ)(標高2813m)の山腹にかけて分布する。内側コールドロンを層厚約1,500mで厚く埋積し、おもに3~4枚の溶結凝灰岩層とそれらの間に挟在する溶岩・ハイアロクラスタイト層からなり,これらがほぼ水平に堆積して明瞭な縞模様を形成しており、それらが新穂高ロープウェイ終点の西穂高口駅付近から遠望観察できる。コールドロン底部をなす第2期の笠谷層を穴毛谷下流部で覆い、内側コールドロンの北縁部にあたる抜戸岳付近では陥没壁の崩壊を示す陥没角礫岩層が最上部に挟まっている。
鉱脈型鉱床
熱水鉱床の一つで、熱水(鉱液)が地下の割れ目や断層に沿って流れる過程で温度や圧力の低下などにより含まれていた成分が岩石の割れ目に結晶化して鉱脈状に産するもので、鉱脈はおもに石英などの普通の鉱物からなるが、金属鉱物や希少鉱物を含むことで鉱床となる。深さにより浅熱水性-中熱水性-深熱水性鉱床のように分けられることが多い。充填鉱床という場合もある。
奥丸沢花崗岩
高原川支流の蒲田川上流部にある奥丸山(標高2439m)周辺から県境の西蒲尾根周辺へかけて東西約2km×南北約8kmの規模で南北方向に細長い岩株状の岩体として分布する。おもに中~細粒の黒雲母花崗岩からなり、石英斑岩から粗粒花崗岩までいろいろな岩相を示す。笠ヶ岳コールドロンを構成する火山岩類に密接にともなわれ、それらと複合岩体をなす深成岩体と考えられている。

地質年代