烏帽子・鷲ヶ岳火山
郡上市と高山市の境界にまたがり、南北約33km、東西約18kmの広範囲に広がる火山体であり、復元総体積は約66km³とされている。その中央部に南北に流れる一色川により大きく烏帽子岳(標高1625m)と鷲ヶ岳(標高1671m)の山体に分けられており、多くの谷により開析されているため、火山地形はほとんど残されていない。九頭竜火山列における他の火山が溶岩層を主体とする成層火山を形成しているのに対して、火砕流や岩屑なだれによる堆積物をともなう点がやや異なる。大規模な山体崩壊堆積物と水底堆積物を境に古期火山と新期火山に分けられており、前者はおもに山体の西部から北部にかけて分布し、阿多岐層を覆い、角閃石斑晶に富む安山岩質溶岩と同質の火砕流堆積物などからなる。後者はおもに山体の南部から東部にかけて分布し、前者に比べて角閃石斑晶の少ない安山岩類からなり、複数枚の溶岩層やblock and ash flow堆積物などで構成され、それらを覆う土石流堆積物などが山麓部に分布する。
白鳥流紋岩
郡上市大和町の白尾山(標高1,613m)南西麓から同市白鳥町、高鷲(たかす)町を経て、福井県大野市へかけての地域に、烏帽子・鷲ヶ岳火山、大日ヶ岳火山、願教寺山・三ノ峰火山などの第四紀火山の基盤として散在的に分布する。濃飛流紋岩と奥美濃酸性岩類に挟まれた地域にあり、流紋岩質の溶結凝灰岩や非溶結の凝灰岩類,泥岩層や石炭層などの砕屑岩層などからなるが、火山層序が明らかにされているのは岩体東部の限られた地域だけであり、周辺岩体との対比などもまったくわかっていない。
地質年代