上宝火山
高山市奥飛騨温泉郷福地の南方にある貝塩(かいしお)谷北側山腹に分布する貝塩給源火道から流出した福地凝灰角礫岩層・上宝火砕流堆積物が形成したであろう火山体であり、「上宝・貝塩火山」と呼ぶこともある。現在は飛騨山脈の上昇隆起にともない火山体は削剥されてしまい残っていない。この火山から噴出した降下火砕堆積物は「貝塩上宝テフラ」と呼ばれる広域テフラを形成して中部・関東一円に分布する。
block and ash flow堆積物
高温の溶岩ドームや溶岩流の一部が崩落することで起こる小型の火砕流により形成される堆積物で、いろいろな大きさの溶岩の岩塊、角礫、岩片などからなる。火山体の斜面上にあって、溶岩自体の爆発や重力などにより崩落を起こすことで発生する。1991(平3)年に雲仙普賢岳で発生した火砕流はこのタイプであり、火砕流の噴火タイプとしてはメラピ型火砕流と呼ばれることもある。
上宝火砕流堆積物
高原川・宮川流域の500km²にもおよぶ広範囲にわたり分布し、上宝火山の活動において、先行する福地凝灰角礫岩層の形成に引き続いて貝塩給源火道から40km³以上の噴出量でもたらされた流紋岩質の火砕流堆積物である。八本原などに典型的な火砕流台地を形成している。堆積物は1回の冷却単位で形成された溶結凝灰岩からなり、最大層厚が200m以上で、東部では最下部に約30mの厚さで非溶結部をともなう。
地質年代