九頭竜火山列
岐阜・石川県境にある白山(標高2702m)を中心とする両白山地北部に分布する火山群のうち、鮮新世~更新世前期に形成された火山群で、北西から南東に向かって大日山火山、取立山(とりたてやま)火山、赤兎山(あかうさぎやま)火山、経ヶ岳(きょうがたけ)・法恩寺山火山、願教寺山(がんきょうじやま)・三ノ峰火山、大日ヶ岳火山、烏帽子・鷲ヶ岳火山の7つの火山体が並ぶ。これらのうち後三者が岐阜県地域に分布する。全体に安山岩質の溶岩層が卓越していることを特徴としている。これに対して、更新世中期以降に形成された火山群は白山火山列といい、南北方向に並ぶ。
火砕流
火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。
岩屑なだれ
水蒸気や空気などの気体と岩塊など固体破片の混合物が大規模に(体積で106m³以上 )高速で(速いもので150m/秒)斜面を流れ下る現象で、火山現象としてもみられるが、地震動で山体が崩壊して起こることもある。火砕流に似た現象であるが、火砕流はマグマ起源の物質を主体とする高温の流れであるのに対して、これは既存の物質からなる低温の流れである。気体が水に代わると泥流あるいは土石流となり、岩屑なだれが途中から河川の水を取り込んで泥流・土石流になることはよくある。
阿多岐層
長良川の最上流部にあたる烏帽子・鷲ヶ岳火山および大日ヶ岳火山の山麓において、見かけ上は両火山体を構成する火山岩類の基底層のように点在して分布する。層厚は最大で40mほどであり、凝灰質砂岩・シルト岩などの湖沼成の堆積物からなり、場所により珪藻土をともなう。ただし、すべてほぼ同じ時期に形成された地層であるかは不明であり、両火山の活動に関連した堆積物であるかも明確でない。
block and ash flow堆積物
高温の溶岩ドームや溶岩流の一部が崩落することで起こる小型の火砕流により形成される堆積物で、いろいろな大きさの溶岩の岩塊、角礫、岩片などからなる。火山体の斜面上にあって、溶岩自体の爆発や重力などにより崩落を起こすことで発生する。1991(平3)年に雲仙普賢岳で発生した火砕流はこのタイプであり、火砕流の噴火タイプとしてはメラピ型火砕流と呼ばれることもある。
地質年代