地層名 高位段丘堆積層【th】 こういだんきゅうたいせきそう
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代表地点 美濃加茂市下米田町山本
形成時期 更新世前期
概要    河岸段丘のうち現河床面から50~60mほどの高さに平坦面を形成している段丘を構成する堆積層である。高原川流域の神岡町付近や上宝(かみたから)町付近、木曽川・飛騨川流域の美濃加茂地域などに分布するが、中位段丘堆積層に比べるとその分布域はさらに限られる。いずれも個々の河川が数十万年以上前に上流から運んできた礫でおもに構成されており、多くは10cm以下の大きさの礫が多数含まれている。礫種はそれぞれの流域に分布する岩石類からなるが、第四紀堆積層としては形成時期が古いこともあり、例外なく礫が著しく風化して軟らかくなっていることを特徴としている。ただし、チャート礫が含まれる場合にはそれだけが風化せずに堅硬な状態で含まれる。また、強い風化作用を受けた礫層が赤色を帯びた土壌となって地表面に分布していることが多い。
文献
  • 写真 美濃加茂市下米田町山本に露出する高位段丘堆積層(下半部は基盤をなす蜂屋累層)
    (撮影:鹿野勘次)
    写真 美濃加茂市下米田町山本における高位段丘堆積層を構成する風化した礫の状態
    (撮影:鹿野勘次)
    中位段丘堆積層
    河岸段丘は一般に大きく3段に区分され、その中間の高さにある段丘面をまとめて中位段丘と呼ぶことが多い。そのため、現河床面からの比高や段数などは河川によって異なる。また、どこの河川にも普遍的に分布するわけではなく、実際には谷幅が比較的広い場所で削剥から免れて分布している。基本的には上流から運んできた礫あるいは砂で構成されているが、上流部での火山活動との関連で火山噴出物あるいは泥流堆積物で構成されている場合もあり、とりわけ木曽川沿いでは御嶽火山の活動に関係した木曽谷層が主要な構成層となっている。
    第四紀堆積層
    第四紀という地質時代は地球史における現代にあたり、2009(平21)年の国際地質科学連合において258万8000年前から現在までの期間と再定義されている。すなわち、第四紀堆積層は約260万年前以降に形成された堆積物のすべてを指すことになり、これらの中には第四紀火山あるいは東海層群の項目で扱うものも含まれるが、ここではそれらを除いたものを扱う。岐阜県内においてそれらが比較的まとまって分布する地域は濃尾平野地域と高山盆地周辺地域であり、それら以外の地域ではおもに現在の河川沿いに分布し、河岸段丘堆積層や扇状地・崖錐堆積層などとして分布しており、堆積物としてはきわめて薄く、未固結の地層を形成しており、それらのほとんどには地層名が付いていない。  濃尾平野地域は、山間部の多い岐阜県内にあって第四紀堆積層が例外的に広く分布する地域であり、ここでは鮮新世末期(約300万年前ごろ)から始まった濃尾傾動運動によって、平野の西端にある養老断層を境にして西へ傾きながら沈降しており、そこへ木曽川・長良川・揖斐川などの河川により運び込まれた多量の土砂が西側ほど厚く堆積し、表層には完新世に堆積した沖積層(現河床堆積層および後背湿地堆積層、自然堤防堆積層など)が広く分布している。高山盆地周辺では、盆地周縁部での断層運動にかかわる堆積物と河川により運ばれた堆積物、さらには火山活動にかかわる堆積物が錯綜して分布している。




    地質年代