項目 中の横ずれ なかのよこずれ
関連項目 事項解説>活断層>岐阜・西濃地域>根尾谷地震断層(根尾中の屈曲)
地点 本巣市根尾中(なか)
見学地点の位置・概要    町村合併前の旧根尾村における中心部にあたる根尾樽見(たるみ)は樽見鉄道の終点にある。そこより国道157号で10kmほど北上したところが根尾中という集落である。集落の始まる位置の国道沿い左側に倉庫があり、そのすぐ北側の耕作地内で根尾谷断層の横ずれ変位が見られる。
見学地点の解説    横ずれ変位が明瞭に確認できる畑は、国道の上から眺められる位置にあり、国道脇にある案内板の内容と図面を参考に観察するとよい。畑の境界に植えられている茶木の列が手前から奥へ向かって左へずれるように屈曲しており、その位置に断層線が通っている。その左延長線上に農道の屈曲が同様に見られる。もともとは直線状に延びていた茶木あるいは農道を横切って断層が左横ずれを起こし、それぞれを屈曲させて平均で約7mの移動量を示している。この移動量は1891(明24)年に濃尾地震を起こした根尾谷地震断層全体での横ずれ量としては最大である。ちなみに、左(右)ずれとは断層の手前からみて反対側が左(右)へずれていることを意味する。
ジオの視点    横ずれ断層は、縦ずれ断層と異なり、目印にあたるものが取り去られてしまうとその様子がまったく分からなくなってしまい、そうした場所は濃尾地震をもたらした根尾谷地震断層全体においても数多くある。ここでは、屈曲した茶木や農道が農作業に不自由であるにもかかわらず、所有者の日常的な努力とご好意で120年以上も大切に保存されてきており、きわめて貴重な左横ずれ屈曲を示す場所となっている。そのためここが2007(平19)年に国の特別天然記念物「根尾谷断層」に追加指定されている。
写真 根尾中における茶木の屈曲
(撮影:小井土由光)
写真 根尾中における茶木および小道の屈曲
(撮影:小井土由光)





地質年代