項目 糸貫川の伏越 いとぬきがわのふせこし
関連項目
地点 瑞穂市生津(なまづ)
見学地点の位置・概要    岐阜市街地を西へ向かって流れ下った長良川は、河渡(ごうど)橋の手前で伊自良(いじら)川を合流させて南下をはじめる。それに沿って右岸(西岸)に作られている堤防道路が県道163号墨俣合渡岐阜線である。それを南下すると、JR東海道線の長良川鉄橋の手前で長良川へ流れ込む糸貫川を横切る。そこで糸貫川の下をくぐる伏越と呼ばれる治水工法がみられる。
見学地点の解説    周囲から長良川へ流れ込む中小河川は、長良川と同じ高さで合流するため、本流が増水すれば逆流を起こして流域で氾濫せざるを得なくなる。それを防ぐために合流点にはどこにでも必ず排水機場が設置されており、ここにも糸貫川天王川排水機場があり、強制的に長良川へ排水するようにしてある。ただし、ポンプの力で排水できるようになったのは最近のことであり、それまでは自然の力に頼らざるを得なかった。それが川の下に別の川をくぐらせる伏越と呼ばれる治水工法である。天王川の水を糸貫川の下をくぐらせて、本流と並行させて人工の河川(これを「江下げ」という)を設けて少しでも下流に流し、水位差を大きくして長良川へ合流させている。ちなみに糸貫川の水は排水機場に導かれて排水されるようにしてあるが、その機能が働かなくなった場合には、排水機場から天王川に流して伏越を使って江下げで下流へ流すようにしてある。
ジオの視点    ここで合流している糸貫川は、根尾川が1534(天文3)年の大洪水により現在の流路になるまでの根尾川本流であった。現在の根尾川はその扇状地の中央を流れる天井川であり、糸貫川をはじめとする根尾川左岸(東岸)の水はすべて長良川へ流れこむようになっている。それだけ長良川には水に関する負担がかかっており、洪水災害を想定したいろいろな治水の工夫がなされている。
写真 糸貫川・天王川合流点付近における伏越
(作成:小井土由光)
写真 JR長良川鉄橋付近からみた糸貫川(中央の左から右への流路)とその下をくぐる伏越の下流側の水門(左端の鉄扉)
(撮影:小井土由光)





地質年代