項目 湯ヶ峰断層の低断層崖 ゆがみねだんそうのだんそうがい
関連項目 事項解説>活断層>飛騨地域>湯ヶ峰断層(概説)
地点 下呂市乗政三ツ石(のりまさみついし)
見学地点の位置・概要    下呂から加子母へ向かう国道257号の宮地交差点から県道440号乗政下呂停車場線に入り、乗政地区に至る前に三ツ石方面の案内指示があり、それに従って三ツ石地区へ進むと、人家が点在する比較的急傾斜の斜面が広がっている。その中で最初に耕作地を南東方へまっすぐに横切る道があり、その中程に水神碑がある。その道路において人家と反対側に上流側を向いた比高2~4mの崖があり、それが湯ヶ峰断層の低断層崖である。
見学地点の解説    三ツ石地区における急傾斜の斜面は、北東側の山地から流れ込む谷に沿って形成された段丘面にあたる。その斜面を階段状の崖を作って家屋の敷地や耕作地に利用しており、それらの崖はほとんど下流側の南西側に面している。それに対して、この低断層崖だけはまったく逆の北東側を向いている。ここでは2回にわたりトレンチ調査が実施されており、破砕された基盤岩の濃飛流紋岩とこれを覆う段丘砂礫層・腐植土層(沖積層)が高角度の断層でずれている様子が認められた。トレンチ壁面での詳細な観察と腐植土などの年代測定結果から、この断層が7,000年前以降に少なくとも4回以上の活動をしており、最新の活動は1,000年前以後であり、活動間隔がおよそ2,000年であることなどが明らかにされている。
ジオの視点    湯ヶ峰断層は阿寺断層系の1つで、下呂市御厩野(みまやの)付近から乗政三ツ石、湯ヶ峰を経て、下呂温泉の北方へ向かって全長約10kmにわたり延びる。1583(天正13)年の天正地震により崩壊したとされる大威徳寺(だいいとくじ)が南東へ数km離れた場所にあり、この断層が活動したことで天正地震が起きた可能性がトレンチ調査からのデータで指摘されている。
写真 下呂市乗政三ツ石における湯ヶ峰断層の低断層崖(人家と水田との間に見える段差)
(撮影:小井土由光)
写真 近くから見た湯ヶ峰断層の低断層崖(写真の左側が上流側(北東側)にあたる)
(撮影:小井土由光)





地質年代