項目 下呂石 げろいし
関連項目 凡例解説>第四紀火山>その他>湯ヶ峰火山
地点 下呂市森1808-37 ふるさと歴史記念館前
見学地点の位置・概要    下呂市乗政(のりまさ)から初矢(はちや)峠を経て下呂温泉街へ向かう「ふるさと農道」と呼ばれる道路が山間部を貫いて通っている。国道41号の小川交差点から入ってそれに合流することもできる。その道路沿いにある下呂特別支援学校近くにある小さなトンネルの北側にふるさと歴史記念館への進入路があり、同館の前で下呂石と呼ばれる湯ヶ峰火山の噴出物がみられる。
見学地点の解説    ふるさと歴史記念館の東隣にある峰一合(みねいちごう)遺跡は縄文時代前期から弥生時代にかけての集落跡で、同館はその発掘調査による成果公開の施設として開館したこともあり、そこから出土した石器のヤジリを模した大きなモニュメントが玄関前にある。それを作っている岩塊がすべて下呂石であり、その横には下呂石と石器に関する解説板もある(下呂石で作製した石器は記念館の2階に展示してある)。下呂石の岩塊にはきれいな流理模様をもつもの、岩片を取り込んだもの、ガラスの割れ口のような貝殻状の割れ方をしたものなどいろいろなものがみられる。下呂石は湯ヶ峰火山のマグマが地表に出てきて急冷されたことで形成された黒色のデイサイト質溶岩で、ガラス質の緻密な岩石であるが、典型的な黒曜石に比べるとガラス感はなく、わずかながら微結晶ができている無斑晶質岩といった方がよい岩石である。
ジオの視点    湯ヶ峰火山から噴出した溶岩の中で、下呂石と同じように無斑晶質の溶岩であるが、灰色の細かい縞模様をなす多孔質の小川石と呼ばれる岩石があり、板状に割れるために敷石などに利用されている。両者は鉱物組成も化学組成もまったく同じであるが、外観のまったく異なる岩石で、マグマの中に含まれるガスが発泡した(小川石)かしなかった(下呂石)かの差異によると考えられている。
写真 ふるさと歴史記念館前にある下呂石で造られたヤジリを模したモニュメント
(撮影:小井土由光)
写真 モニュメントを作っている下呂石の岩塊の表面
(撮影:小井土由光)





地質年代