項目 超苦鉄質岩 ちょうくてつしつがん
関連項目
地点 高山市清見町大原(おっぱら) 松谷
見学地点の位置・概要    高山市清見町大原は、高山市三日町と郡上市八幡町を結ぶ郡上街道(愛称:飛騨せせらぎ街道)のおおよそ中間点付近にあたり、馬瀬(まぜ)川の上流部において盆地状に広がる平坦地にある。その平坦地の北端部に馬瀬川に架かる大杉橋があり、そこで国道257・472号から別れて旧道に入り、馬瀬川右岸(西岸)に沿って600mほど北進すると支谷の松谷へ入る林道がある。舗装された松谷林道を2.3kmほど進んだ地点で谷側に広い路肩があり、その反対側の林間に超苦鉄質岩の岩塊が見られる。
見学地点の解説    超苦鉄質岩は松谷に沿う一定区間に分布していることになっているが、実際にその区間の林道沿いに露出している地点はほとんどない。そうした中で、この地点において路側の石垣直上にある巨大な岩塊は、この地域で一般的に見られる片理とほぼ同じ方向のそれを示すことから、露岩であろうと思われる。その破断面には輝石類と思われる1~2mmほどの鉱物が見られるが、全体に細粒の基質をもつ暗灰色の岩石からなる。また、表面に1cmほどの間隔で規則的な凹凸が見られ、超苦鉄質岩としての何らかの岩石組織を反映したものと思われるが、露出状況が悪いため詳細は不明である。なお、この地点より200mほど上流の伐採作業現場跡前の対岸に暗緑灰色をした破砕された超苦鉄質岩(蛇紋岩化)が露出しているが、流量が多く対岸へは渡れないため、直接触れることはむずかしい。
ジオの視点    超苦鉄質岩は、カンラン石・輝石などの苦鉄質鉱物(有色鉱物)が70%以上を占める火成岩を指す。これらは通常では見ることができない地球内部のマントル上部をおもに構成する岩石であり、それらが地質時代の構造運動を通じて地表までもたらされた貴重な岩石となる。県内では飛騨外縁帯構成岩類だけに見られる岩石であり、その形成過程に関わる構造運動でもたらされたものである。ただし、多くの場合、含まれるカンラン石が水と反応して蛇紋石と呼ばれる鉱物に変化(蛇紋岩化)しており、もともとの超苦鉄質岩として見ることができる例は少ない。
写真 松谷の林道脇に露出している超苦鉄質岩の破断面
(撮影:小井土由光)
写真 松谷の河床に露出している破砕された超苦鉄質岩(奥の暗緑灰色部が超苦鉄質岩で、手前の白色部は珪化作用を受けた安山岩質火山岩の岩脈)
(撮影:小井土由光)
片理
結晶片岩に特徴的に表れ、柱状、板状、鱗片状などの結晶が一定方向に並ぶことで生じる縞状(線状片理)あるいは面状(面状片理)に表れる構造。




地質年代