項目 一梨含礫片岩 ひとつなしがんれきへんがん
関連項目 凡例解説>飛騨外縁帯構成岩類>清見町楢谷地域>一梨含礫片岩
地点 高山市清見町楢谷 一梨谷
見学地点の位置・概要    郡上街道(愛称:飛騨せせらぎ街道)沿いにある清見町楢谷から南西へ向かう一梨谷に沿って延びる一梨谷林道において、楢谷集落の大黒橋から2kmほどの地点に藤沢橋と呼ばれる小さな橋がある。そこから谷沿いに廃道となっている林道跡があり、10mほど入った地点に一梨含礫片岩が露出しており、その崖下に崩壊した岩塊が見られる。
見学地点の解説    淡緑灰色をなす凝灰質岩石を基質として、径が1cmほどから20cmほどの球状あるいは紡錘形状・帯状などさまざまな形をした礫状の岩片・岩塊が含まれ、それらを含めて強い圧砕作用を受けて明確な片理を示す岩石となっている。片理面は北東~南西方向で北西に50°ほど傾斜した面を示す。含まれる礫状の岩片・岩塊には花崗岩質岩石が多く、ほかに石英斑岩などの貫入岩類、流紋岩質岩石などの火山岩類、少量の砂岩・石灰岩などの堆積岩類などがある。花崗岩質岩石の岩塊は優白質のものがほとんどで、細粒のもの、片麻状構造を示すものなども見られる。
ジオの視点    一梨含礫片岩は、林ノ平層ともにこの地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の主要な岩石であり、ほぼ一梨谷沿いに分布し、礫状の岩片・岩塊を多量に含む凝灰岩からなる。多量の花崗岩質岩石の岩塊を礫状あるいは脈状をなして含むことを特徴とし、その形成過程についてはさまざまな見解が示されてきた。とりわけ花崗岩質岩石の岩塊の起源については飛騨帯構成岩類の形成年代と関連して諸説が挙げられてきが、古生代デボン紀を示す化石が見出されている林ノ平層と断層関係で接することから、地層としての形成時期がわからず、定まった見解は得られていない。
写真 一梨谷の藤沢橋付近に露出している一梨含礫片岩(片理に沿って割れやすく、それが崩壊の原因となっている)
(撮影:小井土由光)
写真 一梨含礫片岩中にみられる紡錘形状に変形した花崗岩質岩石
(撮影:小井土由光)
片理
結晶片岩に特徴的に表れ、柱状、板状、鱗片状などの結晶が一定方向に並ぶことで生じる縞状(線状片理)あるいは面状(面状片理)に表れる構造。
片麻状構造
等粒状完晶質の岩石において、片理をもつ有色鉱物に富む優黒質部と粗粒の無色鉱物に富む優白質部の互層からなる縞状構造が顕著になったもの。必ずしも片麻岩に使う用語ではなく、花崗岩の組織を表現する場合にしばしば用いられる。



地質年代