項目 上広瀬層 かみひろせそう
関連項目 凡例解説>飛騨外縁帯構成岩類>丹生川町北部~国府町地域>上広瀬層
地点 高山市国府町上広瀬 JR高山線鉄橋付近
見学地点の位置・概要    国府町上広瀬付近の宮川はあじめ峡と呼ばれる景勝地となっており、その右岸(北岸)に旧国道41号が、左岸(南岸)に旧県道457号(現市道)が通っている。その市道沿いにある天満(てんまん)神社の裏側(北側)に大きなナメコ工場があり、その脇から発電用水路を経てJR高山線の鉄橋下へ向かうと、橋脚周辺の河床に上広瀬層が広く露出している。なお、この付近より下流のあじめ橋付近までがあじめ峡である。
見学地点の解説    径数cm~30cmほどの円礫~亜角礫からなる著しく淘汰の悪い礫岩で、基質は暗緑灰色の砂岩からなり、礫を欠いて砂岩層に移化していく場合も見られる。礫には花崗岩礫が多く含まれ、次いで安山岩類が多く、流紋岩類、泥岩なども含まれている。花崗岩礫はおもに優白質で等粒状の花崗岩~花崗閃緑岩であり、文象斑岩・細粒花崗岩などが含まれているようであるが、詳細は顕微鏡で確認しなければわかりにくい。
ジオの視点    上広瀬層は、礫岩・砂岩・安山岩質凝灰岩などからなり、あじめ峡を中心に幅約2km、長さ約6kmにわたり北東~南西方向に帯状に分布している。上位にある森部層(古生代ペルム紀)に移化することで、ペルム紀最前期の地層と考えられているが、正確な形成時期はわかっていない。花崗岩礫を多く含む特異な礫岩をともなう地層として注目されており、とりわけ花崗岩礫から古生代石炭紀にあたる約3億5,000万年前とオルドビス紀にあたる約4億4,000万年前という年代値が得られており、比較的近傍からそれらをもたらしたであろう後背地について議論されている。
写真 国府町上広瀬の宮川河床に露出する上広瀬層の礫岩(中央奥にJR高山線鉄橋の橋脚が見える)
(撮影:小井土由光)
写真 上広瀬層の礫岩中に含まれる花崗岩礫
(撮影:小井土由光)
森部層
丹生川町北部~国府町地域に分布する飛騨外縁帯構成岩類の一つで、高山市中切から丹生川町森部を経て、上宝(かみたから)町堂殿(どうでん)にかけて分布する.泥岩、泥岩砂岩互層、砂岩などからなり、礫岩や石灰岩をともなう陸棚成堆積物であり、層厚は1,430m以上と厚い。基底部に花崗岩の礫をふくむ礫岩がある.一部で変成作用を受け、片理が明瞭である。フズリナやサンゴの化石を含み、荒城川層(古生代石炭紀)を不整合に覆うと考えられている。




地質年代