項目 荒城川層Ⅱ(苦鉄質凝灰岩層) あらきがわそう
関連項目 凡例解説>飛騨外縁帯構成岩類>丹生川町北部~国府町地域>荒城川層
地点 高山市丹生川町大沼
見学地点の位置・概要    県道473号鼠餅(ねずもち)古川線は、宮川支流の荒城川に沿って国府町から丹生川町へ東進し、丹生川町三之瀬において荒城川と別れて支流の森部谷川に沿って森部方面へ向かう。そこでそのまま荒城川に沿って市道に入り、折敷地(おしきじ)方面へ向かうとすぐに津島神社がある。そこから200mほどさらに進むと左側に林道の登り口があり、そこに荒城川層が露出している。なお、ここは別地点(荒城川層Ⅰ)の代替として用意したが、独立した見学地点として活用いただいても構わない。
見学地点の解説    暗緑灰色をなす苦鉄質凝灰岩からなり、変成作用を受けて緑泥石・緑れん石などの変成鉱物が生まれて岩石全体が緑色を帯びるようになっているが、緑色片岩と呼ばれるほどの強い変成作用を受けた変成岩にはなっていない。ほとんど塊状の岩石のように見えるが、おおよそ北東~南西方向で北西に50°ほど傾斜した弱い片理面を示す。破断面では1cmほどの大きさの細粒の岩片がしばしば見られ、火山岩であっても溶岩ではなく、火砕岩であることが識別できる。
ジオの視点    荒城川層は、高山市街地北部の松本町付近から丹生川町北部を経て、上宝(かみたから)町本郷付近まで約1,100mの層さで分布する。おもに安山岩質~玄武岩質の溶岩や火砕岩類からなり,泥岩層、砂岩層、石灰岩層をともなう浅海陸棚成堆積物である。全体に弱い変成作用を受け、分布域の南西部では片理が明瞭となり、結晶片岩千枚岩になっている。中部層と上部層には古生代石炭紀前期を示すサンゴ化石などが含まれるが、下部には時代を示す化石が含まれていない。
写真 丹生川町大沼の市道沿いに露出する荒城川層
(撮影:小井土由光)
写真 荒城川層の苦鉄質凝灰岩の破断面(岩片が含まれている)
(撮影:小井土由光)
片理
結晶片岩に特徴的に表れ、柱状、板状、鱗片状などの結晶が一定方向に並ぶことで生じる縞状(線状片理)あるいは面状(面状片理)に表れる構造。
結晶片岩
広域変成作用により地下深部の高い圧力下で再結晶したことで雲母のような板状の鉱物などが方向性をもって配列し、片理をもつ板状に割れやすい変成岩の一種である。源岩の成分と変成条件により形成された特徴的な変成鉱物の名を冠して石英片岩や緑泥石片岩などと呼ばれたり、源岩の種類を冠して泥質片岩や砂質片岩などと呼ばれる。
千枚岩
細粒の堆積岩あるいは凝灰岩が広域変成作用を受けて形成される葉片状に割れやすい岩石で、泥質岩が圧力を受けた粘板岩(堆積岩)と結晶が明確に一定方向に並ぶ結晶片岩(変成岩)との中間にあり、変化度の最も低い変成岩である。


地質年代