項目 伊西ミグマタイト いにしみぐまたいと
関連項目 凡例解説>飛騨帯構成岩類>飛騨変成岩類>伊西ミグマタイト(含透輝石石英長石質岩)
地点 飛騨市神岡町割石 吉ヶ原橋上流河床
見学地点の位置・概要    石灰珪質片麻岩の見学地点からそのまま河床を下流へ吉ヶ原橋が見える地点まで進むと、伊西ミグマタイトが露出している。
見学地点の解説    ここの岩石は石灰珪質片麻岩と同じように白色をなすが、わずかに淡褐色あるいは淡紅色を帯びた白色であり、比べてみると両者の違いが分かる。また、ハンマーなどの金属でこすってもキズがつかず、石灰珪質片麻岩と異なり、硬い石英あるいは長石類からなり、しばしば自形をなした短柱状の輝石類が含まれている。石英・長石類は粗粒で、2~3cmほどの大きさになる場合もある。大小さまざまな大きさのいろいろな種類の片麻岩類の岩塊を含んでおり、とりわけ黒色をなし、白色の斑点模様が入った大きな岩塊が角閃岩であり、1cmを越えるようなかなり大きな長柱状の黒色の角閃石と白色の斜長石からなる岩石である。それ以外に火成岩組織をもつ閃緑岩質~トーナル岩質片麻岩が多く含まれている。
ジオの視点    変成作用は、温度・圧力条件が大きく変化したことに応じて既存の岩石中の鉱物・組織が変化する作用であり、一般には岩石が融けることはない。ところが、それが高温になると一部が融けた状態になる場合があり、それらが花崗岩質マグマとほぼ同じように周囲に注入されていき、変成岩類と不均質に混在するようになる。こうした岩石をミグマタイトという。飛騨帯構成岩類では、神岡鉱山の鉱床形成に関わる岩石として知られ、鉱山技術者により産状に基いて伊西ミグマタイト(または伊西岩)と呼ばれるようになった。
写真 神岡町吉ヶ原の高原川河床に露出する伊西ミグマタイト(周囲の白色部が伊西ミグマタイトであり、中央の黒色部は角閃岩の岩塊である)
(撮影:小井土由光)
写真 伊西ミグマタイトと角閃岩の岩塊の境界
(撮影:小井土由光)
神岡鉱山
鉱山の歴史は古く、採掘は奈良時代に始まる。1874(明7)年に当時の三井組が本格的な開発をはじめ、近代的な手法により大規模な採掘がなされ、約130年間の総採掘量は7,500万トンにも達している。一時は東洋一の鉱山として栄えたが、2001(平13)年6月に鉱石の採掘を中止した。飛騨帯構成岩類の飛騨変成岩類のうち、おもに結晶質石灰岩を火成岩起源の熱水が交代したスカルン鉱床を稼行対象とした鉱山で、栃洞(とちぼら)坑、茂住(もずみ)坑、円山(まるやま)坑などの鉱床がある。亜鉛鉱石の主要鉱物である閃亜鉛鉱に含まれるカドミウムを原因とする公害病「イタイイタイ病」が下流域の富山県神通川流域で大規模に発生したことはよく知られている。また、茂住坑の跡地はスーパーカミオカンデとしてニュートリノ観測装置に利用されている。なお、2007年に日本地質学会により「日本の地質百選」に選定されている。




地質年代