項目 分水嶺公園 ぶんすいれいこうえん
関連項目
地点 郡上市高鷲町ひるがの
見学地点の位置・概要    国道156・158号(重複区間)で郡上側からひるがの高原へ上りきった峠部の左(西)側に分水嶺公園がある。峠部の位置が長良川水系(太平洋側)と庄川水系(日本海側)を分ける分水嶺になっており、その南側(長良川側)では急斜面の地形が、北側(庄川側)では緩斜面の地形(ひるがの高原)がそれぞれ広がっている。
見学地点の解説    異なる水系の境界線を分水界といい、山岳部の稜線と一致していることが多いため分水嶺とも呼ばれる。日本列島では太平洋と日本海へそれぞれ流れる水系の境界を指す。ここでは1本の水路が途中から太平洋(長良川)と日本海(庄川)に分かれていく様子がみられ、その分岐を示す石柱によって分水嶺の状態を示すように工夫されている。まったく自然の状態でこれほど明瞭な水路として水が“泣き別れ”ているのであれば、確かにここが分水嶺にあたるが、実際には多少とも人間の手が加わって、わかりやすく分水嶺の状況を表わすようにしたものと理解される。
ジオの視点    ひるがの高原周辺には大日ヶ岳火山烏帽子・鷲ヶ岳火山があり、それらが形成された約100万年前におおよそ現在の位置に近い場所に分水嶺があったことは間違いない。しかし、当初の位置はもう少し南にあり、現在の長良川源流の叺谷(かますだに)は日本海へ向かって流れていた。長良川側が急傾斜をなしていることから、長良川の浸食力が強く、それが叺谷にまで及んだことで水を奪いとり、現在のようになったと考えられている。なお、岐阜県ではこのほかに飛騨川水系と宮川(神通川)水系の位山(くらいやま)分水嶺がある。
写真 分水嶺公園の入口
(撮影:小井土由光)
写真 分水嶺公園における水路の分岐
(撮影:小井土由光)
大日ヶ岳火山
長良川の最上流部域にあって、大日ヶ岳(標高1709m)を中心に南北約8km、東西約10kmに広がる火山体であり、復元総体積は約16km3とされている。おもに比較的小規模な安山岩質の溶岩層からなることを特徴としている。山頂部付近の2ヶ所に火口跡と推定されている凹地があり、すべてそれらから噴出したと考えられている。火砕流堆積物や火山角礫岩などの火砕岩は少ない。九頭竜火山列の火山体の中では比較的若い時期に活動した火山である。
烏帽子・鷲ヶ岳火山
郡上市と高山市の境界にまたがり、南北約33km、東西約18kmの広範囲に広がる火山体であり、復元総体積は約66km3とされている。その中央部に南北に流れる一色川により大きく烏帽子岳(標高1625m)と鷲ヶ岳(標高1671m)の山体に分けられており、多くの谷により開析されているため、火山地形はほとんど残されていない。九頭竜火山列における他の火山が溶岩層を主体とする成層火山を形成しているのに対して、火砕流や岩屑なだれによる堆積物をともなう点がやや異なる。大規模な山体崩壊堆積物と水底堆積物を境に古期火山と新期火山に分けられており、前者はおもに山体の西部から北部にかけて分布し、阿多岐層を覆い、角閃石斑晶に富む安山岩質溶岩と同質の火砕流堆積物などからなる。後者はおもに山体の南部から東部にかけて分布し、前者に比べて角閃石斑晶の少ない安山岩類からなり、複数枚の溶岩層やblock and ash flow堆積物などで構成され、それらを覆う土石流堆積物などが山麓部に分布する。



地質年代