項目 大日ヶ岳火山 だいにちがたけかざん
関連項目 凡例解説>第四紀火山>九頭竜火山列>大日ヶ岳火山
地点 郡上市高鷲町 上野高原
見学地点の位置・概要    大日ヶ岳火山はひるがの高原の西方にある山体であり、ひるがの高原からも場所を選べば山腹にスキー場がある山体として望めるが、やや南東方へ離れた上野高原からは前方にさえぎるものがなく、そこを貫く県道321号ひるがの高原線(やまびこロード)沿いから西方に遠望される。
見学地点の解説    大日ヶ岳火山は大日ヶ岳(標高1,709m)を中心に南北約8km、東西約10kmに広がる火山体であり、おもに安山岩質の溶岩層からなり、火砕流堆積物や火山角礫岩などの火山砕屑岩類が少ないことを特徴としている。火山岩類が示す年代値は約103万~93万年前であり、おおよそ100万年前に形成された火山体である。そのためその山体はかなり浸食されており、現在見られる山体はその残骸ということになる。実際に遠望した山体のすがたは、連なる山嶺よりもやや高くそびえる程度のもので、御嶽火山乗鞍火山のように独立した火山体といったイメージはない。
ジオの視点    火山体を構成している火山岩類には均質な溶岩や軟らかい火山砕屑岩類などさまざまな種類の岩石が含まれている。それらは不安定に累積した状態で山体を形成していることから、崩壊しやすい宿命をもつ。とりわけ、形成時期が古いほど浸食された期間も長くなり、崩壊の頻度が増える。そのため溶岩流などの噴出物の表面が示す形態はまったく見られず、火山体の名残りの形態は残すものの、一定の範囲に火山岩類が分布しているだけの地質体となる。
写真 郡上市高鷲町の上野高原からみた大日ヶ岳火山の山体
(撮影:小井土由光)
火砕流
火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。
御嶽火山
岐阜・長野県境にあって南北約20km、東西約15kmの範囲に広がる山体をなす。それぞれ数万年ほどの活動期間をもつ古期御嶽火山と新期御嶽火山からなり、両者の間に約30万年にわたる静穏期があり、現在も約3万年にわたる静穏期にあたっている。
乗鞍火山
飛騨山脈に沿ってほぼ南北方向に配列する乗鞍火山列あるいは乗鞍火山帯と呼ばれる火山群の一つで、複数の火山体が集まって復元総噴出量約26km3の複合火山を形成している。活動時期から大きく約128万~86万年前に活動した古期乗鞍火山と約32万年前以降に活動した新期乗鞍火山に分けられており、前者には千町火山が、後者には烏帽子火山、高天ヶ原・権現池火山、四ツ岳火山、恵比寿火山がそれぞれ該当している。これらのうち権現池火山だけが最新の活動をしている。全体に火砕流堆積物や降下火砕堆積物などの火砕物が少なく、安山岩質ないしデイサイト質の厚い溶岩流が主体を占めることで特徴付けられ、基盤岩類の分布高度が標高2400mまで確認され、噴出物の厚さは600~700mほどしかない。


地質年代