項目 日本最古の石博物館 にほんさいこのいしはくぶつかん
関連項目 事項解説>地学関連施設>日本最古の石博物館
地点 加茂郡七宗町中麻生1160
見学地点の位置・概要    美濃加茂から白川町へ向かう国道41号が飛水峡のある山間部へ入る直前に道の駅「ロック・ガーデンひちそう」がある。その南隣にある宇宙船のような外観をもつ建物が日本最古の石博物館である。
見学地点の解説    この博物館は、日本最古の年代値を示す片麻岩礫を含む上麻生礫岩に因んで建設されたものであり、“最古の岩石”をおもなテーマとする展示物を“レッキー君”がタイムスリップの旅に案内してくれるという趣向になっている。上麻生礫岩の現場で見えなくなってしまっている約20億年前という年代値を示す片麻岩礫がここに展示されている。
ジオの視点    上麻生礫岩の中に日本最古の年代値を示す片麻岩礫が含まれていることが1970(昭45)年に発見・確認されたことを受けて、その発見現場近くに1986(平8)年に建設された施設である。上麻生礫岩のほかに世界最古の石やストロマトライトなどのさまざまな岩石を展示し、地球の誕生から現在に至るまでの46億年の歴史がわかりやすく説明されている。
写真 日本最古の石博物館の外観
(撮影:小井土由光)
写真 日本最古の石博物館に展示されている上麻生礫岩(約20億年前を示す片麻岩礫が含まれている)
(撮影:鹿野勘次)
片麻岩
広域変成作用により形成された高い変成度をもつ粗粒の岩石で、苦鉄質鉱物の多い黒色縞と珪長質鉱物の多い白色縞からなる縞状構造をもつ。花崗岩質岩石を源岩とする正片麻岩と堆積岩類を源岩とする準片麻岩に分けられる。
上麻生礫岩
美濃帯堆積岩類の礫岩の中で、明らかに陸域から供給された粗粒の砕屑物の一つである。この種の礫岩は供給源の地質環境を直接的に表わしているとともに、移動距離がそれほど遠くないことを意味するために、含まれる礫種からは貴重な情報が得られる。とりわけこの礫岩には花崗岩や片麻岩、大陸地域にしか存在しないオルソコーツァイト(正珪岩)の礫が含まれ、いずれも安定大陸の後背地に由来するものであり、その位置がそれほど離れていないことを示している。また、片麻岩礫の形成年代値が約19億年前という日本最古の年代値を示している。こうした点は美濃帯堆積岩類の中にあっても他に例がなく、かなり特異な存在である。
ストロマトライト
シアノバクテリア(ラン藻)類と泥粒などの堆積物が積み重なって作られる層状の構造をもつ炭酸塩岩であり、先カンブリア時代に多く、最古のものは約35億年前に存在したとされ、大気中に存在する酸素の発生源と考えられている。また、ラン藻が日中に光合成を行い、夜間には泥などを粘液で固定するという繰り返しによりドーム型に成長していくことで縞模様が作られ、そこから当時の一日の長さが推測できる。


地質年代