項目 ささゆりトンネル ささゆりとんねる
関連項目 事項解説>大型土木構造物>トンネル>ささゆりトンネル
地点 下呂市保井戸~金山町八坂
見学地点の位置・概要    東海北陸自動車道(郡上八幡)と中央自動車道(中津川)を結ぶ計画の地域高規格道路である濃飛横断自動車道の一部として、最初に開通した区間が下呂市保井戸と和良(わら)川沿いの郡上市和良町方須(ほうす)の間である。そのうち、東側の飛騨川流域と馬瀬川流域をつなげる役割をもつ全長4,877mの長大トンネルがささゆりトンネルであり、2016年時点で県内最長の国道トンネル(国道256号)である。
見学地点の解説    トンネルはNOHI-4に属する高樽火山灰流シート溶結凝灰岩を貫いているが、すべて被覆されているため地質状況はわからない。トンネルの保井戸側口付近からは、このトンネルが貫いている岩石と同じもので構成されている屏風岩の岩壁が正面に望める。また、かつて馬瀬側口の脇にトンネルの掘削により搬出された岩石が野積みされており、そのすべてが新鮮な高樽火山灰流シートの溶結凝灰岩であった。しかし、和良方面へさらに和良金山トンネル(仮称)が開通したことできれいに整備され、それらはすべて取り除かれている。
ジオの視点    近年、掘削されるトンネルは長大になる傾向にある。その需要があり、それに応えられる技術的対応が可能になったからであろう。とはいえ日本では地質環境がかなり複雑であり、長大になるほどその影響は大きくなるはずである。ところが、このトンネルで掘削された岩石は全線を通じてほぼ同一の岩質で、ほぼ均質な硬さで構成されていたはずであり、大きな断層破砕帯も想定しにくい状況であったことから、きわめて順調に掘削されたのではないかと思われる。それほど濃飛流紋岩の溶結凝灰岩は均質なのである。
写真 ささゆりトンネルの保井戸側
(撮影:小井土由光)
写真 ささゆりトンネルの掘削で搬出された高樽火山灰流シートの岩塊
(撮影:小井土由光)
高樽火山灰流シート
濃飛流紋岩の岩体南部を除くかなり広範囲にほぼ連続して分布し、NOHI-4の主体をなす火山灰流シートである。層厚は約700mである。全体にきわめて均質な流紋岩質の溶結凝灰岩からなり、径2㎜前後の自形性のよい石英結晶を多量に含むこと、基質中に細かな結晶片をあまりともなわず、組成のわりに苦鉄質鉱物(角閃石・黒雲母・不透明鉱物)と斜長石を多く含むことを特徴とする。長径5㎝前後の本質岩片を多量に含み、しばしば明瞭なユータキサイト構造を示す。石質岩片をほとんど含まない。
溶結凝灰岩
火砕流によりもたらされた堆積物が溶結作用を受けると、その程度により強溶結、弱溶結、非溶結凝灰岩となり、一般には強溶結凝灰岩をさしていう。おもに火山灰が集まって形成された岩石ではあるが、強く圧密化した岩石となり、きわめて堅硬な岩石となる。



地質年代