項目 鬼岩公園 おにいわこうえん
関連項目 事項解説>景勝地・景観>峡谷・瀑布>鬼岩公園
地点 可児郡御嵩町次月/瑞浪市日吉町松野
見学地点の位置・概要    国道21号は御嵩町から土岐市へ向かう途中で次月(つづき)峠を越える。その上り坂が始まる大きなカーブの右手にドライブインがあり、左手に鬼岩公園への散策路の入り口がある。鬼岩温泉の旅館街を抜けて渓谷に入ると、上流にある人造湖の松野湖へ向けて“渓流コース”や“岩屋くぐりコース”などのハイキングコースがある。散策路は整備されており、各所にある案内板にしたがえば大きな支障なくコースをたどれる。
見学地点の解説    鬼岩公園は、土岐花崗岩が作り出した巨岩・奇岩からなる国指定の天然記念物「鬼岩」にまつわる公園である。公園内には渓流沿いに巨大な岩塊が転がり、両側の山腹には1枚岩の巨大な岩壁がほぼ垂直にそそり立ち、それらが見ごたえのある景観を作っている。すべての巨岩がかなり粗い結晶が等粒状に含まれる土岐花崗岩であり、花崗岩特有のマサ化により表面が砂状に風化して角の取れた丸みのある表面を作っており、それがここ特有の景観を作り出している原因となっている。これらの巨岩が鬼岩の“鬼”を連想させるが、名前は悪行を重ねた鬼人が巨岩の隙間に住んでいたことに由来するらしい。その鬼人が住んだとされる巨岩のすき間は自然が造りだした景観の中にあり、そうした景観を楽しむ“岩石公園”といった方がふさわしいかもしれない。
ジオの視点    土岐花崗岩は径12×14kmほどに広がる大きな岩体であるが、かなり広い範囲にわたり瑞浪層群土岐砂礫層に覆われ、それらの基盤岩類として下から顔をのぞかせている程度の分布を示している。そのため深く刻まれた谷筋において地表に露出するようになり、鬼岩公園はそうした場所の1つということになる。また公園入口にある鬼岩温泉は、土岐花崗岩に比較的多く含まれる放射性元素に起因する放射能泉である。
写真 鬼岩公園の景観(蓮華岩)
(撮影:小井土由光)
写真 鬼岩公園の景観(臼岩)
(撮影:小井土由光)
鬼岩温泉
土岐花崗岩の巨岩・奇岩からなる鬼岩公園の中にあって、土岐花崗岩に多く含まれる放射性元素が溶け出した地下水が湧出している。
土岐花崗岩
土岐市周辺に東西約12km×南北約14kmの規模で分布し、周辺に分布する美濃帯堆積岩類に明瞭な熱変成作用を与えている。おもに塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩からなる。苗木花崗岩とほぼ同じ時期によく似た岩相・特徴をもつ花崗岩体として形成され、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。ウラン・トリウムの含有量が多く、それらが被覆層の瑞浪層群の土岐夾炭累層に濃集してウラン鉱床を形成している。
鬼岩
木曽川支流の可児川源流付近一帯にあり、土岐花崗岩が作り出した巨岩・奇岩からなる国指定の天然記念物「鬼岩」にまつわる公園である。人造湖の松野湖へ至る“渓流コース”や“岩屋くぐりコース”などのハイキングコースがあり、花崗岩が作る岩壁と周囲の緑あるいは秋の紅葉が織りなすコントラストなど、四季を通じて展開される自然の絶景が満喫できる。また公園内には、土岐花崗岩に比較的多く含まれる放射性元素に起因する放射能泉が湧出する鬼岩温泉がある。
マサ化
地下で固結した花崗岩が地表に露出したことで気温の変化により岩石の表面で膨張収縮をわずかながらでも繰り返し、岩石中の鉱物が互いに接している完晶質岩であるために膨張率の違いが鉱物単位で歪みを生じ、ばらばらにされて砂状に破壊されていく現象である。もともとは「真砂土(まさど・まさつち)」という園芸用土壌の用語として使われているが、それをもたらす風化作用に拡大して使われるようになっている。
瑞浪層群
新第三紀の中新世に西南日本の古瀬戸内海と呼ばれる海に堆積した地層群の一つで、岐阜県の中濃地方から東濃地方へかけての可児・瑞浪・岩村の3地域に分かれて分布する。可児地域では下位から蜂屋累層、中村累層、平牧累層に、瑞浪地域では同じく土岐夾炭累層、本郷累層、明世累層、生俵累層に、岩村地域では同じく阿木累層、遠山累層にそれぞれ区分されている。これらは、大きくみると淡水域から汽水域、海域へと堆積環境が変化していったが、設楽層群などの他地域に分布する地層群に比べると浅海性の傾向がみられる。
土岐砂礫層
瀬戸層群の上部層を構成し、東濃地方の広大な東濃準平原を形成した河川が運び込んだ大量の礫により形成された砂礫層で、かなり広範囲にわたって分布する。層厚は数十~100mである。場所により礫種に差異があり、おもに濃飛流紋岩からなるタイプとおもに美濃帯堆積岩類のチャートからなるタイプがあるが、内部での層序や層相の関係はよくわかっていない。礫径は濃飛流紋岩で10cm前後、美濃帯堆積岩類で数~20cmであり、ほとんどが円磨度の進んだ円礫からなる。最大の特徴は、チャート礫を除いて、含まれている礫が風化してきわめて軟らかくなっていることであり、チャート礫だけが堅固なまま残されているため、それだけを含む礫層のように見える。
地質年代