項目 本郷累層 ほんごうるいそう
関連項目 凡例解説>新第三紀堆積岩類および火成岩類>瑞浪層群>本郷累層
地点 瑞浪市日吉町白倉 日吉小中学校裏
見学地点の位置・概要    瑞浪市日吉町にある日吉小中学校をはさんで県道352号大西瑞浪線と反対側に本郷累層が露出しており、とりわけ中学校校舎の南東端にあたる道路脇の斜面にきれいに整備されて地層が露出しており、観察しやすくなっている。ただし、むやみに崩すことは避けなければならない。
見学地点の解説    やや褐色を呈した暗灰色の凝灰質砂岩層が露出しており、層内にほぼ水平にラミナ(葉理)構造が見られる。砂粒は細かいものから比較的粗いものへ粒径変化を示しながらリズミカルに繰り返している。これは大量の火山噴出物が水の作用を受けて再堆積したことで形成された地層であり、中には下位層にあたる土岐夾炭累層に由来する砂岩や泥岩が1cm以下から1m以上の大小さまざまな大きさの岩片・岩塊として含まれている。また、灰白色の小さな軽石片もみられる。1枚の地層の厚さとしては数mであるが、その厚さは水平方向に変化してなくなることもある。
ジオの視点    本郷累層は、瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、瑞浪市日吉町・土岐町に約70mの厚さで分布する。瑞浪市街地周辺に分布する明世累層とほぼ同時期に形成され、火山噴出物が直接的あるいは間接的に水域に運び込まれたことで形成された地層である。扁平な白色の軽石や黒色の炭化木片をかなり多く含むことがあり、それらは生えている木々を高温状態の火砕流が取り込んだことを示している。場所によっては溶結凝灰岩となって堅硬になっており、この時期にはかなり活発な火山活動が起こっていたことになるが、その噴出源となる火山体の位置はまだ正確にわかっていない。
写真 瑞浪市日吉町の日吉小中学校裏に露出する本郷累層
(撮影:小井土由光)
写真 本郷累層の凝灰質砂岩層
(撮影:小井土由光)
土岐夾炭累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪市や土岐市一帯に広く分布する。層厚は約140mで、おもに泥岩・砂岩・角礫岩からなり、褐炭・凝灰岩をはさみ、冷温な気候を示す植物化石が含まれる。厚い褐炭層が何枚かにわたり分布し、その一部は土壌改良剤などとして新日吉鉱山で採掘されている。礫岩は基底部にあり、そこに形成されウラン鉱床を採掘しようとしたのが東濃鉱山である。
明世累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、瑞浪地域の全域にわたり層厚200~250mで分布する海成層で、分布域の中心部と周縁部で岩相が大きく異なる。中心部では全体に凝灰質で、無層理の泥質細粒砂岩、シルト岩~細粒砂岩、軽石質凝灰岩と細粒凝灰岩~凝灰質泥岩の互層などが漸移的に積み重なり、周縁部では礫岩を含む砂岩、砂岩泥岩互層などからなる。大型哺乳類化石としてデスモスチルスやパレオパラドキシアが、周縁部の宿洞(しゅくぼら)相と呼ばれる砂岩層には大型有孔虫化石のミオジプシナがそれぞれ含まれることで知られ、全体に300種を超える貝類化石が産出する。
火砕流
火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。
溶結凝灰岩
火砕流によりもたらされた堆積物が溶結作用を受けると、その程度により強溶結、弱溶結、非溶結凝灰岩となり、一般には強溶結凝灰岩をさしていう。おもに火山灰が集まって形成された岩石ではあるが、強く圧密化した岩石となり、きわめて堅硬な岩石となる。

地質年代