項目 瑞浪市立化石博物館 みずなみしりつかせきはくぶつかん
関連項目 事項解説>地学関連施設>瑞浪市立化石博物館
地点 瑞浪市明世町山野内1-13
見学地点の位置・概要    中央自動車道の瑞浪ICのすぐ北側にある瑞浪市民公園へ向かって進むと、中央自動車道の下をくぐってすぐ右側に駐車場があり、道路を挟んでその向かい側の高台に瑞浪市立化石博物館がある。なお、瑞浪市内での化石採集は条例で禁じられており、この博物館で見学することを条件に瑞浪市松ヶ瀬町の土岐川河床で化石採集ができる許可を得ることができる。
見学地点の解説    化石博物館の展示内容はかなり充実しており、館内での解説等にしたがってじっくり見学することをすすめる。松ヶ瀬町の土岐川河床には明世累層の中部層にあたる山野内層が凝灰質シルト岩~細粒砂岩として露出している。いたるところに白色の貝化石が見られ、場所によっては地層面に沿って化石が密集していることもある。運がよければ瑞浪層群を代表する巻貝化石ビカリアも見つかる可能性もある。ただし、化石は数に限りがある貴重なものであり、必要最小限の数を採取するように心がけたい。
ジオの視点    瑞浪市化石博物館は、瑞浪市周辺に分布する瑞浪層群から産出した化石を中心に収蔵・展示・研究を行っている施設である。1971(昭46)年に始まった中央自動車道の建設工事にともなって瑞浪層群が大規模に掘削され、保存のよい貴重な化石が大量に産出したことで、それらを整理して展示する施設として設置された。収蔵・展示だけでなく、化石に関する優れた研究をすすめ、成果を公表している機関として重要な役割を果たしている。
写真 瑞浪市化石博物館
(撮影:小井土由光)
写真 瑞浪市松ヶ瀬町の土岐川河床にある化石採集場
(撮影:小井土由光)
明世累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、瑞浪地域の全域にわたり層厚200~250mで分布する海成層で、分布域の中心部と周縁部で岩相が大きく異なる。中心部では全体に凝灰質で、無層理の泥質細粒砂岩、シルト岩~細粒砂岩、軽石質凝灰岩と細粒凝灰岩~凝灰質泥岩の互層などが漸移的に積み重なり、周縁部では礫岩を含む砂岩、砂岩泥岩互層などからなる。大型哺乳類化石としてデスモスチルスやパレオパラドキシアが、周縁部の宿洞(しゅくぼら)相と呼ばれる砂岩層には大型有孔虫化石のミオジプシナがそれぞれ含まれることで知られ、全体に300種を超える貝類化石が産出する。
ビカリア
殻長10cmほどの円錐形の巻貝で、殻の表面には太い螺旋状の螺肋や角状突起があり、マングローブの生い茂る熱帯~亜熱帯気候の海に生息していたと考えられている化石種である。貝殻の中が珪酸(メノウ)に満たされ、貝殻がなくなって、内部だけが残されたた化石(内型化石)を「月のおさがり」と呼んでいる。新生代第三紀の始新世から中新世にかけての地層から産出し、岐阜県地域では瑞浪層群から産出する貝化石の代表としてよく知られている。瑞浪市化石博物館にはそのみごとな標本が数多く展示されている。



地質年代