項目 明世累層山野内層 あけよるいそうやまのうちそう
関連項目 凡例解説>新第三紀堆積岩類および火成岩類>瑞浪層群>明世累層
地点 瑞浪市明世町 市民球場前
見学地点の位置・概要    中央自動車道の瑞浪ICのすぐ北側にある瑞浪市立化石博物館とその駐車場を挟んで東側に“ヘソ山”と呼ばれる尾根が延びており、そのさらに東側に体育館や野球場などの運動施設が並んでいる。ヘソ山と運動施設との間の道路沿いに瑞浪層群明世累層がほぼ連続して露出している。それらのうち体育館の北東側にある野球場脇の道路沿いに中部層の山野内層が露出している。
見学地点の解説    戸狩層の上部にある通称“アベックタフ”より上位1mほどから急激に細粒になって凝灰質の砂質泥岩になる。ここが山野内層の基底にあたる。そこからしばらく露出が途切れるが、野球場前の坂道沿いにほぼ水平に重なる塊状の泥岩層へと変わっていく。含まれる貝類化石から推定される水深は20~50mから100mほどと見積もられており、戸狩層よりも深い場所に堆積し、有孔虫化石などから閉鎖的な内湾の環境に堆積した地層と考えられている。山野内層の特徴として、泥岩層の間に8枚の細粒凝灰岩層が挟まれており、それらがリズミカルな水平層の露出面を見せている。
ジオの視点    瑞浪層群を代表する大型海生哺乳類化石の1つであるデスモスチルスは北西太平洋の冷温な海域に生息していたと考えられており、実際には山野内層の下部から産している。言い換えると、温暖な環境で堆積した戸狩層に対して山野内層が寒冷化した環境に変化したことになる。
写真 瑞浪市明世町の市民球場前に露出する山野内層
(撮影:小井土由光)
写真 山野内層に挟まれる凝灰岩層(生物の巣穴で乱されている)
(撮影:小井土由光)
デスモスチルス
中新世前期から中期にかけて北太平洋沿岸地域に生息し、海岸や浅海で暮らしていた哺乳類で、象牙質の芯をエナメル質が取り巻いた円柱がいくつも束になった独特の形状をしている頬歯に特徴がある。そのため、ギリシア語で「束ねられた(デスモス)柱(スティルス)」を意味している学名を与えられ、分類上も“束柱目”にされている。体長1.8mほどのカバに似た体形をもつと推定されている。当初は歯の化石だけがみつかったが、瑞浪層群の明世累層から頭骨化石が最初に発見され、後に樺太から全身骨格が発見されている。同じ束柱目に属するパレオパラドキシアよりも特殊化した種類とされている。




地質年代