項目 明世累層狭間層 あけよるいそうはざまそう
関連項目 凡例解説>新第三紀堆積岩類および火成岩類>瑞浪層群>明世累層
地点 瑞浪市明世町 陸上競技場前
見学地点の位置・概要    中央自動車道の瑞浪ICのすぐ北側にある瑞浪市立化石博物館とその駐車場を挟んで東側に“ヘソ山”と呼ばれる尾根が延びており、そのさらに東側に体育館や野球場などの運動施設が並んでいる。ヘソ山と運動施設との間の道路沿いに瑞浪層群明世累層がほぼ連続して露出している。それらのうち野球場の北東側にある陸上競技場脇の道路沿いに上部層の狭間層が露出している。
見学地点の解説    狭間層は下位層の山野内層や戸狩層とまったく異なる顔つきを示し、粗い結晶粒の中に大量の軽石片と黒色の炭化木片が含まれる軽石凝灰岩からなる。軽石片には白色のものと淡灰色のものがみられ、5cmを超えるような大きさのものも含まれる。陸上競技場前の露出面では、軽石凝灰岩にはさまれるように下位層の山野内層に由来すると思われる凝灰質泥岩が層状に分布しているが、その中に軽石凝灰岩が脈状に入り込んでいたり、その破片が軽石凝灰岩中に含まれおり、凝灰質泥岩が巨大な岩塊であるとともに、軽石凝灰岩がそれなりの運動量をもって移動し、その際に下位層を取り込んでいることを示している。
ジオの視点    瑞浪層群の明世累層は河川により運ばれた砂や泥がおもに海域に堆積した地層からなるが、砕屑物の中味の多くは火山噴出物を起源としている。少なくともその時期は火山活動が活発であったと考えてよい。その中でも狭間層は火山活動で直接もたらされたものが海域に堆積したと考えられる。炭化木片が含まれており、植生のある陸上を熱い状態でかなりの運動量をもって移動してきた火山活動を想定すると、火砕流として流れてきたものが勢いを保ったまま水中に流れ込んだものという推定ができる。
写真 瑞浪市明世町の陸上競技場前に露出する狭間層
(撮影:小井土由光)
写真 凝灰質泥岩の間に入り込む狭間層の軽石凝灰岩
(撮影:小井土由光)
火砕流
火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。




地質年代