項目 岩山花崗閃緑斑岩 いわやまかこうせんりょくはんがん
関連項目 凡例解説>濃飛流紋岩>第2期火成岩類>花崗閃緑斑岩Ⅱ
地点 中津川市高山 高山大橋下
見学地点の位置・概要    中津川市苗木において国道257号から同市蛭川地域へ向かう県道408号中野方(なかのほう)苗木線は高山大橋で付知川を渡る。その手前の国道から400mほどで高山大橋の真下へ向かう旧道があり、その真下にあたる旧道の側壁に岩山花崗閃緑斑岩が露出している。
見学地点の解説    花崗閃緑斑岩は花崗岩に似た岩石であるが、含まれる鉱物が等粒状ではなく、とりわけ長石類が長径2~3cmの大きな結晶となって入っており、それ以外の鉱物が相対的に細かくなっている。この大きな結晶が“斑岩”という名称になる理由で、花崗斑岩ではなく花崗閃緑斑岩と呼ぶのは、広義の花崗岩を区分する際に、黒雲母や角閃石などの有色鉱物や斜長石に富み、石英の少ないものに対して狭義の花崗岩と区別して花崗閃緑岩と呼び、そうした組成をもつ斑岩を指して花崗閃緑斑岩という名称が使われている。
ジオの視点    この花崗閃緑斑岩は、濃飛流紋岩をおもにもたらした大規模な火砕流の出口付近を埋めるように貫いてきたマグマが固結したものである。そのマグマは先行した大規模な火砕流の噴出をもたらしたマグマの残留物あるいは最後に噴出しようとしたマグマが噴出できずにそのまま残されたものに相当する。苗木花崗岩は濃飛流紋岩も花崗閃緑斑岩も貫いており、全体からみると一連の火成活動の最後の形成物となる。
写真 中津川市高山に露出する岩山花崗閃緑斑岩
(撮影:小井土由光)
火砕流
火山噴火において噴煙と同じものが溶岩のように地面に沿って流れる現象である。噴煙の中には火山灰(ガラス片)のほかにマグマのかけらに相当する軽石や噴火の際に取り込まれる既存の岩石などが入っており、それらの固体をまとめて火山砕屑物といい、それらが火山ガス(ほとんど水蒸気)と混ざった状態で地表面に沿って流れる現象である。これによってもたらされた堆積物を火砕流堆積物という。火砕流はきわめて流動性に富む状態で運ばれるために、高温状態のまま高速で運ばれることになり、溶岩流などの噴火現象に比べるとはるかに危険な現象と理解しておかなければならない。
苗木花崗岩
中津川市苗木付近を中心に濃飛流紋岩の分布域の南部に広く分布し、中央部においても濃飛流紋岩の地下に広く伏在して分布する。濃飛流紋岩の少なくともNOHI-5までを貫き、NOHI-3、NOHI-4およびNOHI-5と火山-深成複合岩体を形成していると考えられている。塊状で、一部斑状の細粒~粗粒黒雲母花崗岩および角閃石含有黒雲母花崗岩からなり、放射線で黒~暗灰色になった石英を多く含み、脈状ないし晶洞状のペグマタイトに富むことを特徴とする。



地質年代