項目 上野玄武岩 うえのげんぶがん
関連項目 凡例解説>第四紀火山>その他>上野火山
地点 中津川市坂下上野
見学地点の位置・概要    椛(はな)の湖の北東側にあたる本郷地区で、国道256号から県道3号福岡坂下線沿いにある田瀬坂(たぜざか)へ向かう市道を北へ1.5kmほど進むと、道路脇に上野玄武岩が露出している。広大な上野台地を形成している上野玄武岩は、その広い分布域の割には実際に野外で観察できる場所はかなり限られ、この地点のほかに2~3地点しかない。そのため年代測定用の試料もこの場所で採取されている。
見学地点の解説    上野玄武岩は上野火山が噴出した溶岩であり、細粒で緻密な灰色をなす岩石で、破断面では一定方向に白色の筋が並んで、溶岩の流れた面を示す流理構造が明瞭にみられる。緻密な石基中に1mm以下のカンラン石が含まれているが、小さいこともあり肉眼ではよくわからない。この玄武岩溶岩はしばしば流理面に沿って板状に割れ目(板状節理)が入ることがあり、板状になった岩板をつるしてたたくと澄んだよい音がする。玄武岩溶岩が風化作用を受けると、比較的多く含まれている苦鉄質鉱物が赤鉄鉱を作り、それが土壌化すると暗赤褐色を示す。そうした土壌が上野台地のいくつかの地点で見られる。
ジオの視点    上野玄武岩の形成年代は約140万年前であり、ほぼ同種の玄武岩質溶岩が高山盆地の南方にも分布しており、その形成年代が約200万年前である。両者の分布はかなり離れており、直接的な関係は不明であるが、大きくみると御嶽火山の西側から南側へかけての地域に140万~200万年前に似たような形態で玄武岩類の活動があったことになる。
写真 上野玄武岩
(撮影:小井土由光)
写真 椛の湖の南東で見られる赤色土壌
(撮影:小井土由光)
上野火山
高山盆地の南部から阿寺山地を経て中津川市坂下付近に至るかなり広範囲にわたる地域に玄武岩類からなる単成火山が散在して分布する。そのうち旧坂下町上野を中心とした地域にまとまって分布するもので、「上野玄武岩」とも呼ばれている。カンラン石の斑晶が多く含まれ、斜長石の斑晶が少ないきわめて流動性に富む玄武岩質溶岩からなり、上野台地と呼ばれる平坦な地形を作って分布している。




地質年代