項目 水簸工場 すいひこうじょう
関連項目
地点 恵那市山岡町下手向(しもとうげ)郡上
見学地点の位置・概要    山岡町の小里(おり)川に沿って粘土の水簸工場が並んでいる。水簸工場では採掘した粘土層から陶磁器等の材料となる粘土を精製しているが、工場の内部を見学することはむずかしく、工場の外に並べて乾燥させている粘土板を見学することになる。
見学地点の解説    鉱山で採掘された陶土層には石英や長石の結晶粒あるいは炭化植物片が含まれている。それらを水槽の中で攪拌し、重さによる沈降速度の差を利用して石英や長石などを水槽の底に沈めて取り除き、水簸作業により粘土成分だけを水に混ぜた状態で取り出している。それらを厚い布製の袋に入れて圧力をかけて水分を搾り出すことで円盤状の固まりにして、それを半分に切断した半円状の板を乾燥させる棚が工場周辺に数多く備えられている。そこで乾燥させたものが出荷されていく。取り除かれた石英は珪砂としてガラスなどの原料になる。なお、以前は粘土精製の動力として水車を使っており、小里川沿いに数多くの水車があった。その産業遺産の象徴として道の駅「おばあちゃん市・山岡」に直径24mの巨大な水車が作られている。
ジオの視点    粘土は陶磁器の原料としてわれわれの生活に深くかかわる資源である。そのもとは花崗岩であり、岩石の状態ではどのように工夫しても加工が困難である。ところが、自然界が長時間をかけて地表の条件で安定な粘土に分解してくれたことで、何とか加工できる状態のものを手に入れられるようになった。しかも精製工程を経て整形が可能となり、さらには熱を加えることでやっと道具として耐えられる状態にしている。人間は自然界における“成れの果て”となる最後の産物をやっと利用できるようにし、さらに焼くという工夫をして使えるようにしていることになる。
写真 山岡町下手向における粘土水簸工場の粘土板乾燥棚
(撮影:小井土由光)
写真 道の駅「おばあちゃん市・山岡」にある直径24mの巨大な水車
(撮影:小井土由光)





地質年代