東海層群
   新第三紀中新世後期から第四紀更新世前期にかけての時期に伊勢湾や濃尾平野の周囲に「東海湖」と呼ばれる湖が形成され、そこに堆積した礫・砂・粘土などが重なる地層群を総称して東海層群と呼ぶ。東海湖は知多半島南部付近で発生し、次第に北東(瀬戸・多治見方面)や南西(鈴鹿山脈東麓方面)へ拡大していき、最後は岐阜県の上石津(かみいしづ)地域で消滅したと考えられている。それらのうち、濃尾平野の地下から名古屋市東部や岐阜県東濃地域へかけて分布する地層群は瀬戸層群と呼ばれ、三重・滋賀県境の鈴鹿山脈東麓などの伊勢湾の西側の丘陵地に分布する地層群は奄芸(あげ)層群と呼ばれる。

文献:牧野内 猛(2001)東海層群の層序と東海湖堆積盆地の時代的変遷.豊橋市自然史博物館研究報告,11号,33-39頁.
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( )内:地質記号
【瀬戸層群】
瀬戸層群 土岐口陶土層(ST1) 土岐砂礫層(ST2)
  
【奄芸層群】
奄芸層群 大泉累層(AG1) 米野累層(AG2) 力尾累層(AG2)
美鹿累層(AG1)
       

瀬戸層群
東海層群のうち濃尾平野の地下を含めて伊勢湾以東の地域に分布する地層群で、岐阜県地域では東濃地方に分布し、下部層をなす土岐口陶土層と上部層をなす土岐砂礫層からなる。この地域では火山灰層がほとんど含まれないことで、内部層序あるいは地層対比がむずかしく、近接した地域でも堆積物相互の関係が明確にできない。
奄芸(あげ)層群
東海層群のうち伊勢湾以西の地域に分布する地層群で、東海層群を堆積させた東海湖が徐々に消滅していく時期に堆積した比較的上部の堆積物が多い。多数の火山灰層や褐炭層をはさむことで、内部の層序や対比が比較的よく明らかにされている。それらのうち岐阜県地域ではおもに養老山地の西側および北側において、伊勢北部地域から北方へ向けて分布する大泉累層、米野累層と呼ばれる地層群がおもに分布している。
地質年代