項目 さぼう遊学館 さぼうゆうがくかん
関連項目 事項解説>地学関連施設>さぼう遊学館
地点 海津市南濃町奥条 羽根谷
見学地点の位置・概要    養老山地東麓は土砂災害の多発地帯であり、そこで行われてきた近代的土木工事としての砂防工事は、明治初期におけるオランダ人技師ヨハニス・デ・レーケの指導による砂防堰堤設置に始まる。それを象徴する羽根谷において、砂防堰堤の設置されたことで河谷に“段々”が形成され、それを利用した公園が羽根谷だんだん公園であり、その一画に砂防をテーマに設置された施設がさぼう遊学館である。国道258号の羽根谷交差点を西進し、羽根谷沿いに上流へ向かう道路沿いにある。
見学地点の解説    さぼう遊学館は養老山地の羽根谷にある巨石積堰堤などの砂防堰堤と羽根谷周辺の自然を材料に、土石流実験装置や映像学習などを通して楽しく遊びながら砂防を理解していけるように工夫されており、大地が引き起こす土砂災害とそれに対する防災(砂防)というテーマでの施設はユニークな存在である。
ジオの視点    養老山地は、濃尾平野との境界部に延びる養老断層が縦ずれ運動を起こして上昇隆起している地塊である。上昇することで激しく削剥されていき、大量の土砂が谷沿いに運び出されている。それらが羽根谷あるいは般若谷などの出口に広がる扇状地として堆積している。扇状地の規模はその谷の上流側での上昇・削剥を示す指標ともいえ、それだけその谷に砂防施設が必要なことも示しており、巨石積堰堤にそれが表れている。
写真 さぼう遊学館
(撮影:小井土由光)
写真 さぼう遊学館前にあるデレーケの胸像
(撮影:小井土由光)
養老断層
濃尾平野から西方を望むと、養老山地が南北方向に延び、その東側斜面が壁のように立ちはだかり、ほぼ直線的な境界で濃尾平野と接している。その境界に沿って約40kmにわたり養老断層が延びている。養老山地から濃尾平野を経て東方の猿投(さなげ)山地に至る地形上の単位は「濃尾傾動地塊」と呼ばれ、東側が緩やかに上昇し、濃尾平野が沈降していく濃尾傾動運動で作られたものである。沈降していく濃尾平野と上昇していく養老山地との間に養老断層があり、その上下移動量は数百万年前から現在までに2,000m以上に達していると考えられている。沈降していく濃尾平野には木曽三川が運び込んだ大量の土砂が堆積しているから、その2/3ほどは埋められており、実際の養老山地東側の斜面では1/3ほどだけが断層崖として顔をのぞかせていることになる。




地質年代