項目 神岡鉱山跡(スーパーカミオカンデ入口)   かみおかこうざんあと
関連項目 事項解説>鉱山跡・資源>金属資源>神岡鉱山
地点 飛騨市神岡町土(ど) 跡津坑口跡
見学地点の位置・概要    高原川沿いに走る国道41号は神岡町土においてほぼ直角に曲がって富山方面へ向かうが、その曲がり角にあたる位置から支流の跡津川に沿って東方へ向かう道がある。この道は、昔は越中街道の裏街道として使われた重要な交通路であったが、現在はほとんど使われていない。その道を1kmほど行った地点に旧神岡鉱山茂住坑の坑口であった跡津坑口がある。
見学地点の解説    神岡鉱山は、神岡町の中心部からみると、高原川沿いに北へ向かって、栃洞(とちぼら)坑、茂住(もずみ)坑、円山(まるやま)坑と大きく3地域にわかれる鉱床で構成されていた。それらのうち、ここは茂住坑の跡津坑口と呼ばれた場所で、池ノ山(標高1,369m)の地下にあった茂住坑の南側坑口にあたる。茂住坑の主要な坑口は北西側にあたる神岡町東茂住にある茂住坑口であった。現在は、茂住坑の跡地が東京大学宇宙線研究所付属神岡宇宙素粒子研究施設(スーパーカミオカンデ)としてニュートリノ観測装置に利用されており、ここから地下坑道を水平に2kmほど入った池ノ山の真下にそれがある。
ジオの視点    神岡鉱山は古い歴史を持つ鉱山であり、本格的な開発が始まった明治初期から約130年間続いたが、2001(平13)年6月に鉱石の採掘を中止した。飛騨帯構成岩類の飛騨変成岩類のうち、おもに結晶質石灰岩を火成岩起源の熱水が交代したスカルン鉱床を稼行対象とした鉱山である。総採掘量は7,500万トンにも達しているとされ、一時は東洋一の鉱山として栄えた。現在は、鉱山としての採掘はしていないが、精錬技術等を生かした亜鉛精錬や鉛リサイクルなどの事業をすすめる会社として工場が稼働している。
写真 旧神岡鉱山の茂住坑の跡津坑口
(撮影:小井土由光)
写真 神岡町東町で現在稼働している精錬工場
(撮影:小井土由光)
スカルン鉱床
石灰岩などの炭酸塩岩が花崗岩などの貫入によりもたらされる熱水により交代作用を受けて形成される熱水鉱床の一種で、スウェーデンの鉱山用語に由来している。熱水からもたらされた珪酸(SiO2)、アルミナ(Al2O3)、鉄(Fe)などの成分と炭酸塩岩が反応して生じたカルシウムまたはマグネシウム質珪酸塩鉱物の集合体をスカルン鉱物といい、単斜輝石、ザクロ石、緑れん石などがある。その際に鉄や銅をはじめ亜鉛や鉛などの有用な金属を含む鉱石鉱物が一緒にもたらされる。




地質年代