項目 阿弥陀ヶ滝 あみだがたき
関連項目 事項解説>景勝地・景観>峡谷・瀑布>阿弥陀ヶ滝
地点 郡上市白鳥町前谷
見学地点の位置・概要    白鳥町前谷において国道156・158号(重複区間)から石徹白(いとしろ)方面へ向かう県道314号石徹白前谷線に入ると、県道沿いに阿弥陀ヶ滝への案内指示がある。駐車場から少し歩かなければならないが、気楽に見学できる滝としては県内最大のものであり、降雨の多い時期には迫力のある瀑布を形成することで知られている。
見学地点の解説    阿弥陀ヶ滝は大日ヶ岳火山の溶岩層にかかる落差約60m、幅約7mの名瀑である。かなりの水量を誇り、723(養老6)年に白山を開山した泰澄により発見されて以降、白山信仰における修験道の滝行を行なうことで知られている。
ジオの視点    多くの火山体では、均質で相対的に硬い溶岩層と不均質で相対的に軟らかい火砕岩層が交互に重なっている。硬い溶岩層は軟らかい火砕岩層に比べて水に対する抵抗力が大きいため、浸食差が生じて溶岩層に滝が架かることが多い。とりわけ溶岩層は一定の厚さをもち、それに応じた岩壁を形成することが多いために、そこをほぼ垂直に落ちる滝となることが多い。県内では、御嶽火山にかかわる仙人滝根尾の滝、乗鞍火山にかかわる平湯大滝、白山火山にかかわる白水滝、両白丸山火山にかかわる八反滝などがそれらにあたる。
写真 阿弥陀ヶ滝
(撮影:小井土由光)
大日ヶ岳火山
長良川の最上流部域にあって、大日ヶ岳(標高1709m)を中心に南北約8km、東西約10kmに広がる火山体であり、復元総体積は約16km3とされている。おもに比較的小規模な安山岩質の溶岩層からなることを特徴としている。山頂部付近の2ヶ所に火口跡と推定されている凹地があり、すべてそれらから噴出したと考えられている。火砕流堆積物や火山角礫岩などの火砕岩は少ない。九頭竜火山列の火山体の中では比較的若い時期に活動した火山である。
仙人滝
御嶽山の飛騨側登山口にあたる濁河温泉から登山道を500mほど登ったところにある落差約30m、幅約5mの瀑布で、新期御嶽火山を構成する摩利支天火山群(約6万~2万年前)に属する溶岩流に架かる。滝壷が比較的浅く、御嶽行者の禊の場であった滝であり、名前の由来にもなっている。200以上もあるとされる小坂町地域の滝の中で古くから知られている名瀑の一つである。
根尾の滝
飛騨川支流の小坂川の上流にあたる濁河川にある落差約63m、幅約5mの名瀑で、御嶽山の山麓にある多くの滝の中でも規模の大きい滝として知られている。新期御嶽火山を構成する摩利支天火山群(約6万~2万年前)に属する溶岩流に架かる。この溶岩流はさらに下流まで流れて巌立の岩壁を形成している。
平湯大滝
高原川上流の大滝川に架かる落差約64m、幅約6mの名瀑で、水量が多いことでダイナミックな滝として知られ、冬季の氷瀑としてもよく知られている。乗鞍火山の最北端にあたる四ツ岳(標高2751m)を構成する四ツ岳火山の「四ツ岳溶岩ドーム」として噴出し、北方へ流れ出た安山岩質溶岩のほぼ末端にあたる位置に架かる。周囲は平湯大滝公園として整備されおり、紅葉の名所となっている。
白水滝
白山火山の最新期の活動として約2200年前に流出した「白水滝溶岩」に架かる落差約72m、幅約8mの滝で、垂直に落下する水の色が乳白色に見えることからこの名が付けられたとされている。その雄大な姿からかつては日本三名瀑の一つに数えられることもあったが、1963(昭38)年に南隣の谷に大白川ダムが作られて滝の上流でダムへの取水が行われるようになり、滝に流れる水量が人為的に調節されてしまった。そのため自然状態の瀑布ではなくなったことで“日本の滝百選”には含まれていない。乗鞍火山の溶岩に架かる平湯大滝とほぼ類似の地質環境に形成された滝と理解してよい。
八反滝
九頭竜川水系となる石徹白川の支流初河谷(はっこだに)にあり、白山火山列の丸山火山から噴出した溶岩層にかかる落差約30mの滝である。瀑布が長さ八反の白布のように見えることからこの名があるが、“反”という単位はきわめてあいまいであり、現在の長さに換算できない。
地質年代