項目 羅漢岩 らかんいわ
関連項目 事項解説>景勝地・景観>渓谷・瀑布>中山七里
地点 下呂市久野川
見学地点の位置・概要    中山七里の渓谷において、国道41号の久野川口付近から飛騨川の対岸を見上げる位置にある岩山が羅漢岩であり、国道脇に解説板がある。
見学地点の解説    丸みを帯びたいくつもの巨岩が松林の間から顔を覗かせて分布している。十八羅漢が天から降りてきたようだと評して明治時代の末に命名された景勝地であり、中山七里の中でも水墨画的な風景といわれている。構成する岩石は釜ヶ渕と同じNOHI-3に属する金山火山灰流シートである。
ジオの視点    まったく同じ岩石で構成されていても、常に河川の水流にさらされている河床(釜ヶ渕)と雨水の影響を受けるだけの山腹(羅漢岩)では見かけの様相はまったく異なる。表面につく植物の影響、岩石の風化の程度などいろいろな要素が見た目の違いを生んでいることになり、それらを考慮して眺めることも必要である。
写真 羅漢岩の景観(手前はJR高山線の久野川鉄橋)
(撮影:小井土由光)
写真 羅漢岩の景観
(撮影:小井土由光)
金山火山灰流シート
濃飛流紋岩のNOHI-3の最上部層をなし、岩体南西部においては飛騨川・白川流域から北方へ佐見川上流域、飛騨川流域~八尾山周辺地域、土京(どきょう)川上流域などに比較的まとまって分布し、岩体南東部においては長野県南木曽町柿其(かきぞれ)川流域から北西方へ下呂市小坂町若栃谷流域までの約 35 ㎞の範囲に帯状に分布する。層厚は最大で約500mである。斜長石の結晶片を多量に含む流紋デイサイト質の溶結凝灰岩からなり、角礫岩層や細粒凝灰岩層をともなう。斜長石のほかに苦鉄質鉱物(角閃石・黒雲母・輝石?)も多く含まれ、粗粒の石英結晶片(径4~5㎜)が散在し、径0.5㎜以下の細かい結晶片を多く含むことを特徴とする。一般に径3~4㎝の本質岩片が多く含まれ、その中に径2~3㎜の斜長石斑晶を多く含む。美濃帯堆積岩類に由来する石質岩片を普遍的に含む。分布域の北縁部で土京(どきょう)流紋デイサイト質貫入岩、南部の飛騨川流域で下油井(しもゆい)流紋デイサイト質貫入岩に貫かれ、そこで層厚が厚くなることから、両地域に給源があった可能性が大きいと考えられている。




地質年代