項目 化石林公園 かせきりんこうえん
関連項目 事項解説>化石>瑞浪層群の化石>木曽川化石林
地点 美濃加茂市御門(みかど)町 太田橋
見学地点の位置・概要    国道21号は、現在は新太田橋で木曽川を渡るが、かつてはその下流に架かる太田橋を通っていた。その太田橋の下流側右岸(北岸)に化石林公園がある。ここには中山道の三大難所の一つとされる太田の渡し跡があり、当時の渡船場へ続く石畳も残されている。国道21号から太田橋へ向かう交差点の1つ西側の島町交差点に化石林公園・太田の渡し跡への案内指示があり、それにしたがって木曽川堤防へ向かい、堤防を越えて河川敷まで進むと駐車場がある。
見学地点の解説    994(平6)年夏の異常渇水により木曽川の水位が異常に低下したことで、太田橋下流の木曽川河床から合計425本の化石林が立ったままの状態で発見された。含まれている地層は瑞浪層群の中村累層で、樹径が1cmから1mほど、高さが最大で約50cmであり、日本で最大規模を誇る化石林である。化石樹木のおもな種類は温暖な地域だけに生息するアオギリ科の仲間で、現在の日本には分布していない。発見された化石林のうち木曽川右岸(北岸)の河原が化石林公園として整備され、地層中に埋まった自然な状態の化石林を見ることができる。
ジオの視点    蜂屋累層を形成した2,000万年前ごろまで続いた激しい火山活動が終わり、1,900万年前ごろになると、いたるところに湿地や浅い湖沼の広がる盆地が形成され、そこに堆積した砂岩・泥岩・礫岩・褐炭などが中村累層である。湿地に茂っていた森林の名残りとして多数の樹幹化石が大規模な化石林を形成している。樹幹の断面で明瞭な年輪や細胞組織が観察でき、確認された範囲での最高樹齢は112年で、全体として20年以内の若い樹木が多い。 
写真 化石林公園にある珪化木
(撮影:小井土由光)
写真 化石林公園にある珪化木に見られる年輪跡
(撮影:小井土由光)
中村累層
可児地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、御嵩町・可児市・美濃加茂市南部に広く分布する。層厚は約120mで、礫岩や凝灰質砂岩・シルト岩互層からなる下部層と褐炭層をはさむ凝灰質砂岩・シルト岩からなる上部層とに分けられている。哺乳動物化石としてサイ、バク、シカなどが産出したことで知られており、湖沼性の貝類化石や寒冷性の植物化石も多く含まれる。御嵩亜炭鉱群はこの褐炭層を採掘していた。
蜂屋累層
可児地域に分布する瑞浪層群のうち下部層を構成し、瑞浪層群全体としても最下部層をなす。美濃加茂市南部に広く分布し、おもに安山岩質~玄武岩質の火砕岩・水中自破砕溶岩・貫入岩などからなり、凝灰質砂岩や凝灰質シルト岩などの湖沼性堆積岩層をともなう。火山活動は浅い水中で起こり、火砕岩類のほとんどはマグマ水蒸気爆発により形成されたと考えられている。層厚は約300mである。



地質年代