項目 遠山累層 とうやまるいそう
関連項目 凡例解説>新第三紀堆積岩類および火成岩類>瑞浪層群>遠山累層
地点 恵那市山岡町牧
見学地点の位置・概要    国道363号を山岡町中心部から明智方面へ1kmほどいくと、県道417号串原明智山岡線沿いにある田沢地区へ向かう市道とのT字路がある。その市道は明智鉄道の下をくぐると右方へカーブするが、そこをカーブせずにまっすぐ東方へ向かう農道があり、その正面の山際にほぼ水平に重なる遠山累層が露出している。
見学地点の解説    岩村~山岡地域に分布する瑞浪層群は岩村層群とも呼ばれる。ここにはそのうちの上部層を構成する遠山累層の凝灰質シルト岩層とそれに挟まれる2枚の凝灰岩層が見られる。露出している崖の下半分はやや深くえぐられており、そこに層厚10~30cmで暗灰色~黒色を示す粗粒の凝灰岩層が見られる。この凝灰岩層は通称スコリア・タフと呼ばれ、多くが白色をなす凝灰岩層の中で暗色系のやや特異な色調を示す。その1mほど上位のえぐられた部分の天井部にあたる位置に明灰色を示す凝灰岩層が層厚1~2.5mで見られ、平行ラミナ(葉理)構造が顕著な部分や軽石の密集部をもつなどの特徴を示す。凝灰質シルト岩層には貝類の印象化石や巣穴跡のような生痕化石がよく見られる。
ジオの視点    遠山累層に含まれる凝灰岩層は、当時の火山活動により噴出した火山灰が広域にわたり降り注いで堆積したものである。その噴出源の位置はわかっていないが、そこから直接海域にもたらされたものもあれば、陸域に堆積したものが海域に運ばれて堆積したものもある。これらの凝灰岩層は岩村~山岡地域という範囲では全体によく連続して分布しており、同じ凝灰岩層は同じ時間面を示すから地層を対比する際の鍵層として有効な役割を果たしている。これらとほぼ同時期に形成されたと考えられている瑞浪地域に分布する瑞浪層群の明世累層に含まれる凝灰岩層と比較検討することも試みられている。
写真 山岡町牧に露出する遠山累層
(撮影:小井土由光)
写真 遠山累層のスコリア・タフと呼ばれる暗灰色の凝灰岩層
(撮影:小井土由光)
明世累層
瑞浪地域に分布する瑞浪層群のうち中部層を構成し、瑞浪地域の全域にわたり層厚200~250mで分布する海成層で、分布域の中心部と周縁部で岩相が大きく異なる。中心部では全体に凝灰質で、無層理の泥質細粒砂岩、シルト岩~細粒砂岩、軽石質凝灰岩と細粒凝灰岩~凝灰質泥岩の互層などが漸移的に積み重なり、周縁部では礫岩を含む砂岩、砂岩泥岩互層などからなる。大型哺乳類化石としてデスモスチルスやパレオパラドキシアが、周縁部の宿洞(しゅくぼら)相と呼ばれる砂岩層には大型有孔虫化石のミオジプシナがそれぞれ含まれることで知られ、全体に300種を超える貝類化石が産出する。




地質年代