海溝型地震
日本列島周辺において規模の大きな地震もたらす大地の破壊(ずれ)は大きく2通りの場所で起き、その一つが太平洋側に延びる海溝付近であるためにこの名がある。日本列島の下へプレートが沈み込むことでプレート境界で起きるずれにともなう地震であり、2011(平23)年3月11日の東北地方太平洋沖地震はこの典型例である。もう一つは活断層型地震をもたらす活断層によるずれである。
活断層型地震
日本列島周辺において規模の大きな地震もたらす大地の破壊(ずれ)は大きく2通りの場所で起き、その一つが陸地内の活断層であるためにこの名がある。これは、大地の浅部が常に力を受けているために、それに耐えられなくなると断層としてずれ、その際に引き起こされる震源の浅い地震で、「直下型地震」ともいう。1891(明24)年の濃尾地震はこの典型例である。もう一つは海溝型地震をもたらすプレート境界でのずれである。

主な災害

   気象、火山、地震などの自然現象が人間の生命や社会的活動に被害を及ぼすような場合を自然災害という。自然災害も元は単なる自然現象に過ぎないという一面を理解しておく必要がある。とはいえ、最近では人間の手が加わったことで自然現象から災害が引き起こされる人為災害がしばしばみられ、自然災害と人為災害の境界は引きにくい。ここではこれまでに岐阜県地域にもたらされたおもな自然災害を土砂災害、洪水災害、地震災害、火山災害に分けてそれぞれ発生順にとりあげる。その最大の目的は、過去の災害を知ることで将来へ向けての備えをすることにあり、すべての自然災害を“想定外”で片付けないためである。
   土砂災害は大地そのもので起こる災害であり、山間部の多い岐阜県地域においてとくに多く発生している。ただし、地質環境が直接的な原因となることはほとんどなく、その引き金は地震動の場合もあるが、ほとんどの場合で豪雨であり、原因をたどれば気象現象に行きつく。しかも台風と梅雨前線あるいは秋雨前線の組合わせによる集中豪雨がもたらす土砂災害がきわめて多いことに注目しておいてよい。それは洪水災害についても同じである。地震災害には海域で発生する海溝型地震によるものもあるが、岐阜県地域においてはこれまでに影響のあったものはなく、活断層が動くことで発生する地震災害に限られおり、ここでは県内に震源をもつ活断層型(直下型)地震をとりあげる。また、火山災害については、直接的な被害の有無を問わず最新の活動を中心にとりあげ、関連する活動記録に触れておく。